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<リボーンアート>古里へ 芸術へ 情熱注ぐ

「作り手ではなく、支える側としてアートに関わりたい」と話す志村さん

 12年前の河北美術展で、史上最年少の16歳で洋画部門の最高賞・河北賞を射止め、話題となった女子高生がいた。当時、宮城県東松島市から宮城野高(仙台市宮城野区)に通い、美術を学んでいた志村春海さん(29)。今、石巻市などで開催中のアートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2017」のスタッフとして忙しい日々を送る。
 RAFの一環で、休校中の石巻市荻浜小の校舎を地元住民らと清掃してアート会場とした。「荻浜小×ART〜おらほのはまがっこ」と題し、地元の美術家らの作品を展示している。
 志村さんは「RAFでは著名な作家たちが出展しているが、地元で活動するアーティストや団体の作品も見てもらう場が欲しかった」と説明する。
 こけし作家の林貴俊さん、ともに石巻に移住した彫刻家富松篤さん、写真家平井慶祐さんら地元の人々が協力した。「小学校や地域の歴史を振り返る展示もあり、多くの人に足を運んでほしい」と志村さん。RAFの地域ツアーを企画するなど運営に奔走する。
 高校卒業後、大好きな美術を学ぼうと筑波大芸術専門学群に進学した。大学を卒業した2011年3月、東日本大震災が発生。東松島市の実家は1階が津波で全壊した。倉庫にあった河北賞受賞作品は奇跡的に無傷だった。
 震災後、茨城県立美術館の臨時職員を経て、地域おこし協力隊員になった。栃木県日光市足尾地区で、地域の歴史や暮らしを本にまとめるなどした。
 「でも、ずっと被災した古里のことが気になり、いずれは戻りたいと思っていた」。RAFの開催に向け、石巻市で15年7月に一般社団法人「リボーンアート・フェスティバル」が設立され、職員を募っていたのを知り応募。昨年3月、RAFスタッフとして石巻に移り住んだ。
 「今年で終わる総合祭ではないので、長いスパンで携わりたい」。作品の作り手から裏方へ。立場が変わってもアートに寄せる思いは変わらない。


2017年08月31日木曜日


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