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<台風10号豪雨1年>車ごと濁流に飲まれ…避難時の判断、今も悔やむ

慰霊式に参列し、涙を拭う岩舘さん

 岩手県岩泉町の追悼慰霊式には台風10号豪雨で夫を亡くし、義姉が行方不明になっている岩舘慶子さん(77)=岩泉町穴沢=の姿があった。あの日の判断を今も悔いているという。
 自宅にいた岩舘さん一家を昨年8月30日、小本(おもと)川の濁流が襲った。
 車で逃げようとエンジンをかけ、夫の五郎さん=当時(76)=が玄関で義姉サツさん=同(91)=に靴を履かせるのを待つ間、庭先の水かさは増していく。「早く早く」。2人をせかすうち、岩舘さんは車ごと激流に押し流された。
 木に引っ掛かった車の中から近所の人たちに救出されたが、五郎さんは流れにのまれて死亡。サツさんの行方は今も分からない。
 数日後に自宅へ戻った岩舘さんは意外な事実を目にする。洪水の勢いは車を押し流すほどだったのに、水かさは数十センチの床上浸水にとどまっていた。
 「もし、車で逃げようとせず、2階に避難していたら…」
 何が正しかったのか答えを見つけられないまま岩舘さんは五郎さんの一周忌法要を執り行い、近くサツさんの死亡を届け出るという。
 「あっという間の1年でした。まだ気持ちの整理はつきません。2人の分まで精いっぱい生きていくしかありません」。そう言って岩舘さんは、祭壇に白菊を供えた。


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2017年08月31日木曜日


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