岩手のニュース

<台風10号豪雨1年>「楽ん楽ん」の慰霊式 遺族の姿なく

施設職員が「楽ん楽ん」の跡地で入所者9人の冥福を祈った慰霊式。遺族の姿はなかった=30日午前10時30分ごろ、岩手県岩泉町

 昨年8月の台風10号豪雨から1年となった30日、入所者9人が犠牲になった岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の慰霊式に遺族の参列はなかった。不信感を募らせる遺族と困惑する施設側。両者のわだかまりは解消されることなく、一周忌を迎えた。
 「楽ん楽ん」を運営していた医療法人社団「緑川会」(岩泉町)は30日午前、施設跡地に設けた献花台の前で職員約50人が入所者の冥福を祈ったが、慰霊式に遺族は招かなかった。
 一周忌には慰霊碑を建立し、遺族と共に追悼したいと考えていた緑川会。しかし遺族側は「なぜ、9人は犠牲になったのか。真相が究明されないままの慰霊碑建立は納得できない」と反発。慰霊碑の設置は延期せざるを得なかった。
 緑川会の佐藤弘明常務理事は「(遺族への説明など)施設はあらゆる点でいろいろやってきたつもりだ」と困惑するばかりだ。
 実際、昨年10月に慰霊碑の建設計画や被災当日の対応について遺族向けの説明会を開いた。ただ被災当時、施設にいて唯一生き残った女性所長は入院中で欠席した。
 後日、遺族宅を訪ねて謝罪したものの「説明に報道で知ることのできる以上の内容はなく、対応に誠実さが欠けている」。入所していた母チヤさん=当時(95)=を亡くした埼玉県の写真家八重樫信之さん(73)ら遺族には、緑川会の対応がこう映った。
 入所者9人のうち6人の遺族は緑川会に対し、女性所長自身による詳細な説明や、施設が法的責任を認めるよう求めて書面を送付。受け入れられない場合、一部遺族は法的手段も辞さない構えだ。
 町主催の追悼慰霊式に出席した八重樫さんは「母の死に対するやりきれない思いは払拭(ふっしょく)できていない。一周忌を迎えたが、これからが大変だ」と話した。


関連ページ: 岩手 社会

2017年08月31日木曜日


先頭に戻る