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<教室が足りない>教員不足で多忙に拍車

編成基準では2学級となる重複障害の児童6人が、一つの教室で学ぶ利府支援学校

 宮城県内の特別支援学校が慢性的な教室不足に直面している。通学を希望する児童生徒が増加する一方で、受け入れ環境の整備が追い付いていない。進学先の選択や登下校に不自由を強いられる子どもや保護者。学校新設が遅れる中、通常学級との連携などを模索する動きもある。障害児教育の現場から実情を報告する。(報道部・鈴木悠太)

◎特別支援学級の現状(中)苦悩する教育現場

<目配りが大切>
 仙台市青葉区に県が2014年新設した小松島支援学校は、開校時195人だった在学者数が現在、220人を超えた。受け入れる子どもが増え続けており、分校の新設構想も進む。
 宮城野区の上原芽久美さん(42)は、重い知的障害と肢体不自由の次男(10)を通学させている。生活全てに介助を要し、教員のサポートが欠かせない。
 会話ができない次男は、他の子どもに気持ちを伝えられない。教員が注意深い目配りで感情を推察し、代弁しながら周囲の人々との交流を促す。上原さんは「にこにこした表情で触れ合いに応じるようになるなど、他の人への関心が増した」と喜びをかみしめる。
 子どもが増加し、着替えや食事などの支援で教員が手いっぱいにならないか上原さんは心配する。「先生の手を借りながら、一つでも多く何かを身に付けることが親の幸せなので」と切ない思いを話す。
 国の編成基準によると、特別支援学校の1学級は、小中学部3〜6人、高等部3〜8人で編成し、教員2人が受け持つのが望ましいとされる。実際には、県内の小中高35教室で基準より多い子どもが同じ室内で学習を余儀なくされている。
 重複障害児の場合、小中学部は3人編成が基本となるが、利府支援学校の小学部では、重複障害児6人が一つの教室で学び、3人の教員が受け持つケースもある。狭い空間での対応は教員の負担を増やし、責任をより重くする。
 「子どもが増えれば学習内容を制限せざるを得ない。きめ細かい指導ができない現状は、教員にとっても子どもにとっても不幸だ」。名取支援学校の八反田(はったんだ)史彦教諭(58)は厳しい内実を明かす。
 特別支援学校に通う子どもは常に不慮の事故やけがの危険と隣り合わせだ。子どもがパニックを起こして暴れたり、授業中に学校の外まで勢いよく走りだしたりすることもある。

<安全最優先に>
 トラブルが生じれば、教員はその子に掛かりっきりになる。もう一方の教員が他の全ての子どもを見なければならず、学習は教室で一律にできる簡単な作業になりがちだという。
 名取支援学校の渡り廊下には、子どもが敷地外に飛び出さないようネットが張り巡らされている。八反田教諭は「子どもの成長を手助けしたいが、安全確保が最優先。登校から下校まで、教員は一瞬たりとも気を抜けない」と話す。
 県高校障害児学校教職員組合(高教組)が特別支援学校の教員を対象に実施したアンケートでは、教員の8割以上が多忙と回答した。「全ての子どもに満足のいく学びを提供するには、教員の数が足りなすぎる」との嘆きが充満する。


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2017年09月01日金曜日


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