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<教室が足りない>整備遅れ通学に負担も

県内にある特別支援学校の不足教室数

 宮城県内の特別支援学校が慢性的な教室不足に直面している。通学を希望する児童生徒が増加する一方で、受け入れ環境の整備が追い付いていない。進学先の選択や登下校に不自由を強いられる子どもや保護者。学校新設が遅れる中、通常学級との連携などを模索する動きもある。障害児教育の現場から実情を報告する。(報道部・鈴木悠太)

◎特別支援学級の現状(上)増加する児童生徒

<転校には難色>
 「本当は通い慣れた学校を変えたくなかったが、最後は諦めるしかなかった」
 仙台市宮城野区の富樫由紀さん(44)は利府支援学校に通う長男(15)が中学部に上がる2014年度、県教委から新設の小松島支援学校(青葉区)に転校を打診された。児童生徒の増加で、利府での受け入れが難しくなったためだ。
 富樫さんによると、長男は先天性の障害で装具や手助けがないと歩行できない。会話などでのコミュニケーションも難しく、発熱や食事を摂取しないなど学校で異変があればすぐに迎えに行く必要がある。
 富樫さんの自宅から利府への通学は車で約5分だったが、小松島には約20分かかる。転校に難色を示し、県教委の担当者と面談を重ねたが、受け入れざるを得なかった。学校が遠くなり、富樫さんは「精神的に負担が増した」と話す。
 小学部で取り組んできた学習が途切れるのもネックだった。登校先の変更で6年間利用したデイサービスに通えなくなり、歩行や排せつなどの練習が継続できなくなった。「積み上げた努力が失われる不安も強かった」と本音を吐露する。
 県内では07年度以降、県立の特別支援学校に通学する児童・生徒数が約500人増加した。学級編成の基準に照らせば、県全体で計71教室が足りず、仮設のプレハブ校舎や他教室の転用などで補っている。

<仙台圏で顕著>
 仙台圏は特に不足の度合いが顕著だ。名取20教室、利府13教室、光明(泉区)9教室など5校で計45教室が足りない。気仙沼、迫(登米市)、古川(大崎市)でも計26教室が不足し、子どもたちや保護者のニーズを満たせていない。
 教室の不足に伴い、自宅から離れた学校に通わなければならないケースも出ている。仙台市などから子どもを受け入れるのは山元が9人、石巻が5人、古川が3人。高等学園はそもそも校数が少なく、不合格になれば、他地区の2次募集を探さざるを得ない。
 村井嘉浩知事は県議会6月定例会で仙台市太白区秋保地区に特別支援学校を新設する方針を表明し、可能な限り開校を急ぐ考えを示した。現段階で規模や開校時期は未定。1校のみでは仙台圏の教室不足は改善されないとの見方もある。
 「仙台市長に市立支援学校の新設を働き掛けてほしい」。7月24日に県庁であった県総合教育会議で、高橋仁教育長は村井知事に異例の要請をした。学習環境の整備が遅れる現状に危機感を募らせ、単独の改善策に限界をにじませている。


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2017年08月31日木曜日


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