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<南三陸町>役場新庁舎 環境配慮の林業発信

地元の木材をふんだんに使った南三陸町役場の新庁舎内を見学する関係者=2017年9月3日午前10時50分ごろ、宮城県南三陸町

 南三陸町は3日、東日本大震災で被災し、再建した町役場新庁舎の開庁式を行い、復興の総仕上げへ向けて新たなスタートを切った。町産杉を使った新庁舎は環境配慮型の林業を発信する。一方で津波防災を優先させたため、市街地から離れた高台に新庁舎ができ町の一体感を醸成できるかが課題となっている。

 新庁舎と歌津総合支所(6月開庁)は、環境に配慮した森林経営を促す国際機関「森林管理協議会(FSC)」の認証を受けた町産の杉材を多く使った。認証材の割合は新庁舎では93%に上る。FSC材を半分以上使う公共施設の建設は全国で初めて。
 町内の山林所有者が集まる南三陸森林管理協議会は2015年10月、1314ヘクタールを対象にFSCの認証を得た。これを機に既に設計段階に進んでいた新庁舎への導入を町に働き掛けた。
 FSC材は木材の履歴を明らかにする必要があるため、森林伐採から、製材、加工、建築に至る各工程を担う人々の理解と管理徹底が不可欠だった。
 協議会によると、手間の掛かる方式のため当初は町が導入に慎重だったが、「町民の財産である町有林を活用することが復興につながる」と町を説得。全国初の取り組みが被災地で実現した。
 協議会の佐藤太一事務局長(32)は「庁舎建設をきっかけにFSC材の認知度が高まり消費者に選ばれればいい。南三陸杉をさらに売り込むため、雑貨など幅広い商品を開発していきたい」と意気込む。
 新庁舎のもう一つの特徴は安全性だ。震災と同規模の津波が来ても行政機能が失われないよう標高61メートルの高台に建てた。懸念されるのは商店が集積する低地部との「分断」だ。
 震災後、町は住まいを高台に移す「職住分離」を選択。低地には商店街やスーパーが並ぶ一方で、住宅や役場、病院は山を切り崩した高台に移った。
 志津川地区まちづくり協議会の及川善祐会長(64)は「庁舎は安全な場所にあるべきで異論はないが、低地部とをつなぐ交通利便性を高めなければ一体感がつくれない」と指摘する。
 佐藤仁町長は「二度と命が失われない町にすることを優先させた。バス高速輸送システム(BRT)と町民バスを結節するなど工夫して、高台と低地部とを結んでいく」と話す。


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2017年09月04日月曜日


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