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「支えあうよりどころに」山元町震災遺族が集う場オープン

妻の宏美さんが生前使っていたギターを演奏する亀井さん(右)

 東日本大震災などでかけがえのない家族を亡くした人たちが支え合う場を遺族自身の手でつくろうと、山元町の介護士亀井繁さん(46)が準備を進めてきたサロンが3日、同町浅生原にオープンした。サロンは、音楽を通じて遺族の思いを発信する場にもなる。趣旨に共感し、建物の改装を手伝ってきた友人ら7人が集まり、亀井さんの思いや演奏に耳を傾けた。
 「震災から6年半、何とか過ごしてきた。つらいこの世を支え合って生きていけたらと思います」。車座になった友人らを前に亀井さんが語りかけた。
 亀井さんは震災で最愛の妻宏美さん=当時(39)=と次女の陽愛(ひなり)ちゃん=同(1)=を失った。突然の別れに苦しみ、生きる意味を失いかけた時にすがったのが、岩沼市などで開かれていた遺族が語り合う会だったという。
 亀井さんは「建物などの復興が目に見えて進む中で、自分の気持ちが落ち込んでいることが許されないような雰囲気があり、本当に苦痛だった。同じ境遇の人と話すことで何とか生きてこられた」と話す。
 施設は「NH311 遺族サロン・スタジオ」と名付けた。NHは家族が住んでいた中浜地区の意味で、「いつも家族と共に」という思いが込められている。
 同日、ミニコンサートが開かれ、亀井さんの伴奏で職場の同僚らが歌った。
 震災前、亀井さんは夫婦で音楽を楽しんでおり、この日使用したのは、がれきの中から見つかった宏美さんのギターだった。「最初は音楽なんか役に立たないと思ったが、いつしか、ギターが出てきたのも妻からのメッセージと思えるようになった」
 施設は約100平方メートルの平屋で、遺族が語り合うための個室がある。図書コーナーもあり、亀井さんが震災後に読んだ死や魂をテーマにした本300冊がある。震災遺族にとどまらず、事故や病気などで家族らと死別した人にもサロン活用を呼び掛ける。
 開館は当面不定期で、利用には事前連絡が必要。亀井さんは「可能な限り、予定を合わせたい」と話す。連絡先は亀井さん080(1676)9126。


2017年09月04日月曜日


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