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平成の黄門・渡部恒三氏に聞く(10完)政治家は志を持て

「平成の黄門さま」の愛称で有名になった渡部さん。今も印籠を持ち歩いているという

 福島県出身で厚生相、通産相などを歴任した元衆院議員渡部恒三さん(85)が政界を引退して間もなく5年がたつ。衆院副議長を2期務めた後、民主党(当時)の国会対策委員長に就任。「平成の黄門さま」の愛称で存在感を示し、政権交代の立役者にもなった。波乱に満ちた政治家人生を振り返ってもらった。

◎歴史つくる気概 東北から

 <渡部恒三さん(85)は2012年12月、首相官邸に出向く。野田佳彦首相が解散・総選挙に打って出るのを思いとどまらせるためだった>

<小選挙区は失敗>
 財務大臣を務めた藤井裕久君に声を掛けられてね。面会の約束を取り付けていたのに玄関払いだ。吉田茂首相以来、何人もの総理とお会いしてきたけど、面会拒否は初めてだったなぁ。
 やけっぱちになって解散なんかせず、野田君は退陣して(元環境相の)細野豪志君に政権を譲るべきだ、と言うつもりだった。細野内閣で予算編成してから解散したら、あそこまで(民主党は)惨敗しなかったんじゃないか。(16年3月結党の)民進党も今のような状況にはならなかったと、今更ながら思うなぁ。
 <自民党は政権に復帰、5年近くにわたり安倍晋三内閣が続く。自民党が歴史的な惨敗を喫した今年7月の東京都議選でも民進党は低迷。反転攻勢の兆しは見えない>
 二大政党制が必要だと訴え続け、衆院の小選挙区制や政党助成金の導入に賛成したんだが、今の政治状況を見ると失敗だったなぁ。なぜって、要するに政治家がみんなサラリーマンになっちゃったんだな。
 中選挙区時代、(旧福島2区で)俺は他の政党と戦っている意識は全くなかった。ライバルは同じ自民党の(官房長官や外相を務めた)伊東正義さんだった。伊東さんに負けないように必死に勉強した。
 中選挙区では、人間的魅力と政策的な魅力がなければ当選できないからね。政治家に人間的な魅力がなければ大事なお金を出してもらえるはずもない。
 ところが、小選挙区は党の公認さえもらえれば誰でも当選できる。政治献金もしかりだ。

<定数削減 違和感>
 自民党の中で苦言を呈する政治家がいなくなった。党内に反主流派がいなくなったから、(安倍内閣の)独走を許すことになった。野党も情けない。太平洋戦争を始めた東条英機内閣のときよりワンマン体制なんじゃないか。
 <1票の格差是正を背景にした国会議員の定数削減の流れなどにも違和感を覚えるという>
 雪深い会津をどうにかしたい、出稼ぎに行かなくて済む豊かな生活環境をつくりたい、と思ったのが政治の原点だった。貧しい地方にこそ政治の力が必要なんだ。有権者の数だけで定数を決めてしまったら、国会議員は東京出身者だらけになる。格差がどんどん広がってしまうよ。
 <若い政治家には、かつて師事した石橋湛山元首相がよく使っていた「自我作古」という言葉を贈りたいという>
 「自らが歴史をつくっていく」という意味だな。こうした気概がなければ国会議員は駄目だぁ。新しい政治の力が、東北からぜひ生まれてほしいなぁ。
(聞き手は福島総局・大友庸一)


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2017年09月06日水曜日


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