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<原発と宮城知事>争点化避け「沈黙」貫く

村井知事(左上)と女川原発(中央)、原発再稼働の手続きが議題に上がった全国知事会議のコラージュ
東北電力女川原発2号機の再稼働の賛否は

 10月5日告示の宮城県知事選(22日投開票)まで1カ月を切った。次期知事は任期中、東北電力が2018年度後半以降に目指す女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、重大な判断を迫られる公算が大きい。4選を目指す村井嘉浩知事の姿勢や全国の原発立地自治体の動向から、トップが担う責任と関与の在り方を問う。

◎2017宮城知事選(上)再稼働判断

<一般論繰り返す>
 東京電力福島第1原発事故から間もなく6年半。宮城県政のトップは、「沈黙」を貫き続ける。
 「国からゴーサインが出ていない中、コメントできない。賛成か反対かを今、述べるのは拙速だ」
 河北新報社が8月に実施した県内の世論調査で、女川原発2号機の再稼働に反対する意見が7割近くに上った結果に対し、村井嘉浩知事は4日の定例記者会見で言及を避けた。
 村井氏のスタンスは一貫している。「国が総合的に判断すべきだ」(16年・県議会2月定例会)「良いかどうかは私でなく、国が決めること」(13年7月・記者会見)。再稼働の是非には踏み込まず、一般論を繰り返してきた。
 国のエネルギー基本計画は「立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む」と記すのみで、知事に原発の再稼働を止める権限はない。ただ村井氏の思惑とは裏腹に、全国で相次ぐ再稼働は、知事の合意が事実上のゴーサインになっている。

<手続き明確化を>
 7月27、28の両日、盛岡市であった全国知事会議では、再稼働の手続きを明確にし、国が責任を持って判断することを促す提言が盛り込まれた。「卒原発」を掲げる三日月大造滋賀県知事は「任意の判断に委ねるのではなく、法制化すべきだ」と訴える。
 福島第1原発事故後、停止した全原発のうち、原子力規制委員会の審査をクリアし、現在稼働するのは九州電力川内原発(鹿児島県)、四国電力伊方原発(愛媛県)など計5基。いずれも知事と立地自治体が同意し、国と電力会社が進める再稼働を後押しした。
 知事会議で、九電玄海原発の再稼働に同意した山口祥義(よしのり)佐賀県知事はプロセスを振り返り「非常に重い判断だった」と打ち明けた。
 国策でありながら、知事の政治姿勢が色濃く反映される原発政策。昨年の鹿児島、新潟両県知事選はそれぞれ再稼働に反対、慎重な立場の新知事が誕生した。
 東電柏崎刈羽原発を抱える米山隆一新潟県知事は就任直後、「福島の検証が欠かせず、3〜4年はかかる」と表明した。安全性と県民世論を見極めながら、独自の道を模索する。

<投票判断に影響>
 村井氏は「最終責任は国だが、大前提として知事同意は必要」と認める。一方、10月の知事選に向けては「原発のみで県民がリーダーを決めるのは難しい」と争点化をけん制する。
 女川原発に関する河北新報社の世論調査では、再稼働の是非を知事選投票先の判断材料にするかどうかも尋ね、「する」(49.1%)との回答が「しない」(45.6%)を上回った。
 ある県OBは言う。「やはり最後に決めるのは知事だ。いくら国の責任と言っても、国は知事の判断をじっと待つのみだろう」(報道部・馬場崇)


2017年09月06日水曜日


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