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<311次世代塾>「避難所の苦闘」テーマに講座

多くの避難者でごった返す震災当日の仙台市高砂市民センター=2011年3月11日午後6時すぎ、同市宮城野区(浅見さん提供)

◎第7回詳報

 大学生らが東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」の第7回講座が2日、仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスであった。震災復旧期を対象とする第2フェーズの初回で、テーマは「避難所の苦闘」。当時、避難所運営に携わった元仙台市高砂市民センター館長の浅見健一さん(70)、東松島市復興まちづくり推進員の黒田みえ子さん(62)の体験談を聴き、教訓を学んだ。

◎物資調達行政頼らず/元仙台市高砂市民センター館長 浅見健一さん(70)

 津波は仙台港近くの高砂市民センター(仙台市宮城野区)門前まで押し寄せた。センターは当時、指定避難所ではなかったが、近隣住民ら1200人が避難してきた。市に支援を頼むと「指定優先」と取り付く島もない。怒りを覚えると同時に、避難者には「私の命に代えてでも皆さんを守る」と宣言し、結果的に110日間、行政に頼らない避難所を運営した。
 食糧などの物資は震災前から関係を築いていた地元企業に頼んで確保した。何度も土下座した。窮状を知った全国の知人・友人も力になってくれた。本当に友は宝。余った物資は困っている他の避難所50カ所以上に届けた。
 皆さんには「正義とは何か」を考えてほしい。指定避難所かどうかと目の前の人を助けることの、どっちが大事なのか。避難所はリーダーだけでは回らない。支えてくれる仲間や部下の存在が大きいことも忘れないでほしい。

◎避難所に女性の力を 東松島市復興まちづくり推進員 黒田みえ子さん(62)

 震災時、地域の役員をしていた関係で地元東松島市の赤井地区体育館で約2カ月間、避難所運営に携わった。海から3キロ離れているが、近くの定川が氾濫し体育館にも水が流れ込んだ。
 津波からは逃れたが、指定避難所ではなかったため物資も情報もなく、自分たちで調達したアルファ米でおにぎりを作ってしのいだ。物資が届くようになってからは、毎回温かい汁物を作るよう心掛けた。
 避難者174人の多くが、内陸にある指定避難所にたどり着けなかった高齢者。乳幼児連れの母親もいた。ほ乳瓶を失ってパニックになったり「子どもの泣き声が迷惑になる」と不安を募らせたりする人もおり、女性たちでケアした。
 災害時に男性だけでは対応できないこともある。避難所の運営に女性が関わっていると安心する人も多いはず。震災時は若い人も頼りになった。今後の地域防災には女性と若者の力を生かしていきたい。

◎受講生の声

<弱者に寄り添う>
 震災後の避難所運営がどれだけ大変だったかを知り、円滑に機能させるには避難者自身の役割分担や自治のルール作りが大切だと学びました。今後運営に携わることがあれば、災害弱者に寄り添いたいです。
(仙台市宮城野区・東北福祉大2年・梅野由菜さん・19歳)

<自分の役割意識>
 講義を聴くまで、被災者は避難所で行政から無条件に支援を受けられると思っていましたが、必ずしもそうではないと知りました。避難先で自分にできることは何かと普段から考え、自主的に行動するようにしたいです。
(仙台市青葉区・宮城教育大3年・堀祐希斗さん・20歳)

<関係づくり大切>
 講師2人の体験談を聞き、友人や同僚を大事にしようと思いました。会員制交流サイト(SNS)で常につながれますが、緊急時には顔の見える関係が力になります。災害時以外でも助け合える関係づくりを目指します。
(横浜市・日本損害保険協会職員・宇佐美真帆さん・23歳)

<メモ>「次世代塾」は、河北新報社などが震災の伝承と防災啓発の担い手育成を目指して企画した年15回の無料講座。次回は16日。連絡先は同社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp
 運営する311次世代塾推進協議会の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構


2017年09月08日金曜日


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