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<リボーンアート>県内最後の成人映画館 有終の美 エロスとカオス融合

日活パール劇場に展示されている「カオス*ラウンジ」の作品

 東日本大震災を乗り越えて営業してきた宮城県内最後の成人映画館「日活パール劇場」(石巻市)が6月下旬、60年の歴史に幕を下ろした。8月には館主が逝去。現在は石巻市などで開催中の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2017」の会場となり、アンダーグラウンドな文化などを主題にした作品が展示されている。
 同館は市の中心街に1957年に開館。洋画、日活映画、そして70年代後半から80年代にかけて成人映画へと主軸を移してきた。
 震災で同館は約2.5メートル浸水。館主の清野太兵衛さん(故人)は「娯楽を提供するのがやりがい」と、常連客やボランティアの力を借りて約3カ月後に再開。石巻に映画文化の明かりをともし続けた。
 しかし、清野さんの体調不良が長引き、今年6月25日に映画館の営業を終了。1カ月余りたった8月5日、清野さんは心不全のため逝去した。90歳だった。
 RAFでは、アーティスト集団「カオス*ラウンジ」がシアター内に架空の映画館を制作。「パール劇場は石巻に残る最も『芸術的』な場所の一つ。劇場の記憶を体感できるような作品を作った」とコメントを寄せた。
 アーティストのハスラー・アキラさんは「生の営みとしての怒りと希望」をテーマに彫像などを出展。「清野さんが守ってきた場所、震災から復活した場所の尊さに目を見張る思いだった」と言う。
 館内には映画ポスターが所狭しと張られ、往時のにぎわいを思わせる。多くのファンがいたエロスの劇場で展開される美のカオス。清野さんの長女(62)は「成人映画は恥ずかしいと思っていたが、新たな角度から価値を発見することができた」と語る。
 清野さんの心意気は、現代アートを介して若者たちにも伝えられている。
 作品を鑑賞した仙台市青葉区の大学生渡辺千史さん(20)は「成人映画館という存在を初めて知った」と驚き、「こうした文化を守ってきた先人たちに親近感を覚える」と話す。
 RAFは10日まで。同館の展示は18歳未満は鑑賞できない。会期後、日活パール劇場は貸しホールとして営業する。


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2017年09月09日土曜日


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