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<震災6年半>東北大災害研・丸谷浩明教授に聞く/目的は危機管理改善

 東日本大震災発生時の初動対応について、自治体の検証はどうあるべきか。防災政策に詳しい東北大災害科学国際研究所の丸谷浩明教授(防災社会システム)に聞いた。

 震災対応の検証は、危機管理や組織運営のまたとない改善の機会であり、未実施の自治体は今後取り組むべきだ。記録が十分でなくても、担当職員には反省点が必ずある。体験者の教訓を生かして初めて防災対応は進歩する。
 全国で災害が相次ぐ中、被災市町村の検証は他地域の教訓となる「外部効果」が増している。熊本地震被災地などに届けられる教訓は、もっとあるはずだ。
 国全体の防災レベルを上げるため、国が自治体の検証作業や教訓発信の費用を補助する制度があっていい。人手が少ない自治体の支援になる。小規模市町村の教訓こそ、同規模の自治体に必要だ。
 原発事故に遭った福島県内の検証が難しいのは事実だが、市町村が主体となって検証しないと分からない教訓がある。自分たちの動きがどうだったか、記録と反省がなければ、他自治体が同様の避難状況に直面した場合、留意事項が何なのかも分からない。
 災害対応は多様で、検証は必ずしも共通でなくていい。ただ、検証の目的は危機管理の改善という社会的な認識の共有が必要。犯人捜しに傾くと、真の検証にならないことが多い。
 検証で忘れがちなのが、支援の受け入れを巡る教訓だ。どの段階で支援が必要だったか。ありがた迷惑でなかったか。受け入れ態勢はどうか。相手の名前は出さないまでも、本音を残すことが事業継続計画(BCP)の観点から重要だ。
 課題を対策に落とし込む上では代替拠点、通信手段の確保などハード面の対応に加え、教訓を生かせる人材の育成が大切になる。
 効果的なのは失敗事例を基に訓練し、判断力を養うこと。避難所の支援格差が問題だったなら「A避難所の物資が足りないとの情報があるが、B、Cから情報は来ない。どうするか」といった課題を与える。平時はB、Cを調べろ、となるが、災害時はまずAを支援しなければならない。平等性より時間が勝負だということを体感してもらう。
 記録も大事だ。報告や決定事項の文書がないと検証が困難な上、実際の災害対応でも支障を来す。災害対応に記録の役割を位置付け、人手が足りなければ、応援職員やOBらの支援を受ける態勢を組むべきだ。

<まるや・ひろあき>東大卒。建設省(当時)入省後、京大経済研究所教授、内閣府防災担当参事官、国土交通政策研究所政策研究官などを経て2013年から現職。NPO法人事業継続推進機構副理事長。58歳。埼玉県出身。


2017年09月10日日曜日


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