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<南極見聞録>氷の穴から大物狙い

海氷上のルート工作。気温はマイナス30度でした。身軽なスノーモービルが先行し、ドリルで穴を開けて海氷の厚さを測り、安全を確認後に雪上車が追随します。後景は南極大陸です(筆者撮影)
54次隊の時に釣ったライギョダマシ。87センチとやや小ぶりでしたが、漁協係長は大喜び。隊員たちもエックス線撮影をしたり魚拓を取ったりで、基地の中はその日、大騒ぎでした(2013年、筆者撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(11)基地の娯楽(上)

 観測や基地の維持で多忙な越冬隊員ですが、息抜きのために楽しむところはしっかりやっています。今回は昭和基地での娯楽状況について2回に分けてご紹介します。
 越冬隊には生活係という、学校でいえばサークルや部活動のようなものがあり、隊員は自分の好みに合わせていくつかの係に所属しています。隊次によって多少異なりますが、58次隊では新聞、アルバム、図書・教養、レクリエーション、シアター、バー、喫茶・スイーツ、アマチュア無線、農協、漁協、理髪など全部で14の係があります。この中でも南極ならではというものを紹介しましょう。

<バットでゴルフ>
 レクリエーション係は娯楽行事全般を毎月、企画します。まず、毎月の誕生会パーティーを調理隊員と共同で開催しています。6月のミッドウインター祭りでも中心になって活躍しました。これから春に向けて休日のスポーツ大会などの予定もあります。
 前回の越冬時には、居住棟ごとに分かれた綱引き大会(足元が氷や雪で滑るので、力だけではなく駆け引きを要します)や、海氷上でのゴルフ大会(氷の上は凹凸があるので、ボールはソフトボール、クラブの代わりに野球のバットを用いてでしたが)を楽しみました。

<2メートル超の個体も>
 漁協はいわゆる釣り部ですが、基地周辺は厚い海氷に覆われているので、釣り糸を垂らす前にドリルで氷を数メートル掘らなくてはなりません。
 主に釣れるのはショウワギスと呼ばれる十数センチの魚で、唐揚げにして食べるとおいしいです。時々、ライギョダマシという大きな魚が釣れることがあります。ライギョダマシは近縁種のマゼランアイナメとともに国内でもメロの名前で流通しています。
 以前は銀ムツという名前で売られることもありましたが、高級魚のムツと混同されるということでメロに統一されたといういわくがある魚です。なんと寿命は約50年、2メートルを超える個体もあるそうで、57次隊によって深さ650メートルの深海から捕獲された昭和基地最大の個体は体長157センチ、体重59.5キロ、標本になって国内の水族館にもらわれていきました。
(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年09月16日土曜日


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