宮城のニュース

<あなたに伝えたい>遺品の写真入れをお守りに

史郎さんが大事にしていた写真入れを見詰める千夏さん

◎深村千夏さん(仙台市若林区)から史郎さんへ

 千夏さん 父は合板製造会社に30年以上勤めていました。工場の現場リーダーを務め、信頼は厚かったそうです。私が社会人になり、晩酌に付き合えるようになった頃、突然の別れが訪れました。
 震災から約1カ月後、津波被害を辛うじて免れた自宅2階の父の部屋で遺品を整理していると、棚の引き出しから古い写真入れが出てきました。中には赤ちゃんだった頃の私の写真。大事にしてくれていたことを初めて知り、感激しました。お守り代わりに常に持ち歩いています。
 2014年5月、スペインの世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路」を訪れ、約800キロの道のりを約1カ月かけて歩きました。「定年したら旅行に行きたい」と言っていた父の形見として、写真入れも持って行きました。
 大聖堂に着く前日、父と愛犬メルが隣にいるような不思議な感覚に包まれました。<もうこの世にいないけど、いつも隣にいてくれたんだね>。うれしくて泣きながら歩きました。
 今は仙台市の非営利団体で東北のクリエイターや中小企業を応援するフリーマガジンの製作アシスタントをしています。仲間に恵まれ、楽しく過ごしています。
 いつも安定した仕事に就けと言っていた父。「安定」と断言できない今の仕事を知ったら理解してもらえないかもしれません。でも自分が信じる道を歩いて行きます。あまり心配しないで、天国から応援していてね。(日曜日掲載)

◎工場の現場リーダーとして信頼厚かった父

 深村史郎さん=当時(60)= 石巻市幸町の自宅で妻孝子さん(67)、一人娘の千夏(ちか)さん(33)、愛犬メルと暮らしていた。東日本大震災の発生後、同市潮見町の会社から妻を心配して自宅に向かったとみられる。震災から約10日後、自宅と会社の中間地点で遺体で見つかった。


2017年09月17日日曜日


先頭に戻る