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<東京検分録>自治体「西高東低」 分権や創生の気概薄い東北

 地方自治体を巡る二つの「西高東低」。民間機関や国への取材で耳にする機会が図らずも続き、悔しさと焦りが募った。
 最初は「持続可能な地域社会総合研究所」(島根県益田市)が2010年と15年の国勢調査を基にした人口分析の記者発表だ。
 転入者が転出者を上回る社会増の過疎指定市町村は島根県海士(あま)町、高知県大川村をはじめ全体の11%に当たる93市町村と算出。うち東北は福島県金山町など8市町村にとどまった。
 若年層の定住で30年後の人口が安定化するとした過疎市町村も西日本が多く、東日本は少ないという。東京の都道府県会館で8月21日に記者会見した藤山浩所長は「過疎や高齢化は中国地方など西日本で先行し、それに対する行政や地域の取り組みもかなり進んでいた」と指摘した。
 同席した小田切徳美明治大教授(農村政策論)は「過疎地域の中に非常に大きな格差が生まれている。転落の一路をたどるか、再生軌道に乗るのか。新しい問題点だ」と危惧した。
 もう一つは地方分権改革をテーマに今月7日にあった内閣府の勉強会。自治体が政策を展開する上で支障となる制度や運用の見直しを国に求める「提案募集方式」が取り上げられた。導入された14年度から本年度までに、見直しを提案した全国199市町村のうち東北はわずか14市町村で、山形はゼロだった。
 内閣府はハンドブックや事例集を作成し、各地で研修会を開くなど伴走型支援に力を入れる。担当者は「北の方は現行制度でどう執行するかと考えがちで、我慢強いというか、具体的な話が来ない。西はすぐに文句を言ってくるのだが…」と温度差を明かした。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地は、復興対応に追われ余裕がなかった側面はあろう。それでも国を揺さぶり、奪い取るぐらいの気概がなければ、地方分権も地方創生もおぼつかない。
 震災で東北は他の地域よりも人口減少、少子高齢化が加速する。自治体の奮起は欠かせない。実情に即した対策や妙案を自発的に打ち出してほしい。(東京支社・瀬川元章)


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2017年09月18日月曜日


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