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<みやぎ考・復興の虚実(6完)>なりわい[下]手探りの商店街

プレオープンした共同店舗施設。周囲では区画整理事業が進み、工事車両が行き交う=気仙沼市南町

◎商圏縮小先見通せず

<「経済回らない」>
 クレーンが林立し、かさ上げ工事が進む気仙沼市内湾地区。4月に閉鎖された仮設商店街の商店主らが建てた共同店舗施設が15日、予定から約4カ月遅れでプレオープンにこぎ着けた。
 「周りに何もないという不安よりも、商店街を何とかしたいという思いが強い」「人の流れがどうなるのか読めない。心配の方が大きい」。商店主らには、不安と期待が交錯する。
 閉鎖された市内2カ所の仮設商店街の計55事業者を対象に、市が退去後の意向を聞いた調査(4月末現在)は廃業と未定が合わせて約4割に達し、被災地で商いを再興する難しさを浮き彫りにした。
 街づくりが遅れ、震災前にテナントで営業していた事業者は入居可能な物件の不足に悩む。新しい街の姿がいまだ見えず、商売が成り立つのかとの懸念は消えない。資金調達難、後継者不足も再スタートを阻む。
 気仙沼商工会議所専務理事の加藤正禎さん(61)は「踏み出せていない人たちにも何とか頑張ってもらわないと、街の経済は回らない。瀬戸際に立っている」と焦りをにじませ、「資金面を含めた支援の新しい考え方が必要だ」と訴える。

<需要の錯覚危惧>
 宮城県の調査によると、昨年10月までに県内で仮設店舗から退去したのは238事業者。本設の復旧が進む陰で、廃業・その他(不明や一時休業など)は78事業者に上った。前年同期に比べ9事業者増え、歯止めが掛からない。
 本設に移行した商店街は商圏の縮小に直面する。3月にオープンした南三陸町の「南三陸志津川さんさん商店街」。来客は50万人を超える盛況だが、運営するまちづくり会社社長の三浦洋昭さん(58)は復興需要の「錯覚」を危惧する。
 商店街を訪れる観光客や工事関係者らは、いずれ先細る。存続には地元からの集客が欠かせないが、商圏となる町の人口は震災で30%減った。「地元をないがしろにはできないが、地元だけでも商売は成り立たない」という厳しい現実が横たわる。
 朝市や盆踊りなどを企画し、地元住民との接点づくりに腐心する。外から人を呼び込みながら地域の暮らしを支える難題を前に、三浦さんは「ハードができて復興ではない。ここから2年が正念場。変化し続けるしかない」と強調する。
<地元の声を調査>
 名取市美田園の仮設商店街「閖上さいかい市場」は貸与期間が残り2年半。振興会長の柳沼宏昌さん(62)は災害公営住宅などの客の元に出向き、ニーズをすくい上げる形態を仲間と模索する。「客に『来てもらう』だけの姿勢では地元の要望に応えきれない」
 震災で激変した商業地図の中で、商店街の生き残りを懸けた手探りが続く。復興完遂への道筋は、深い霧に包まれている。(報道部・加藤健太郎)


2017年09月19日火曜日


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