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<宮城県警>事故繰り返す高齢ドライバーに訪問指導 運転免許証の返納勧める

太田警部補(左)から安全運転や免許返納手続きのアドバイスを受ける男性

 高齢ドライバーの交通事故が多発する中、事故を繰り返す高齢者宅への「訪問指導」に宮城県警が力を入れている。加齢に伴い運転技能が低下していることを説明し、場合によっては運転免許証の返納を勧める。返納後に身分証として使える運転経歴証明書の交付件数が増えるなど効果は出ているが、マイカーに代わる移動手段の確保は依然、課題のままだ。(報道部・畠山嵩)
 8月中旬、仙台北署交通課の太田弘之警部補(32)が仙台市青葉区のアパートを訪ね、無職男性(72)に1枚の写真を見せた。
 乗用車が薬局に突っ込んだ写真に、男性は「自分も若い時に比べブレーキを踏むタイミングが遅くなっている」と不安を口にした。
 男性は還暦を過ぎたあたりから事故を繰り返すようになり、過去1年で物損事故を2回起こした。運転免許は18歳で取得。車が趣味で、焼き鳥の移動販売をしながら40代の頃はポルシェを乗り回したという。
 「彼女を助手席に乗せてあちこちドライブした。周囲から注目を浴び、気持ち良かった」。運転免許は生活の一部だけに「さみしくて返納に踏み切れない」と打ち明けた。
 太田警部補は男性の話に耳を傾けつつ、判断能力を確かめるリストを取り出した。「アクセルとブレーキを踏み間違えた」「サイドミラーを見なくなった」など30問中5問以上当てはまると要注意。男性は半分の15問にチェックが付いた。
 返納はあくまでドライバーの自主性に任され、強制はできない。太田警部補が「昔と同じ感覚で運転するのは危険。返納も考えたら」と諭すと、男性は「踏ん切りをつける」と応じた。
 県警によると、これまで延べ699人が訪問指導を受け、46人が返納した。経歴証明書の周知にも力を入れ、高齢ドライバーへの交付は7月末現在で2753件(前年同期比1063件増)に上る。
 返納が広まる一方、懸念されるのが移動手段の確保だ。県内では12市町村が自治体バスの運賃補助など支援策を展開。国土交通省は2019年度以降、タクシー向けに鉄道のような定期券を導入し、返納者の足として活用を図る方針だ。
 一方、仙台市など公共交通機関が充実した都市部では支援策はほとんどないのが実情。県警交通企画課の手島俊明交通事故総合分析室長は「返納を呼び掛けながら生活の足を奪っては本末転倒だ。自治体と協力して支援策を広げ、事故防止につなげたい」と話した。

[訪問指導]正式名称は「交通事故を頻繁に起こす高齢者に対する個別指導」。今年3月の改正道交法施行に先駆け2016年8月に宮城県警が独自に導入。1年間に複数回事故を起こした70歳以上の高齢ドライバーが対象で、交通関係の警察官が直接、指導し高齢者による事故の未然防止を目指す。


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2017年09月19日火曜日


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