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<東松島集団移転>元地の活用まだら模様 「虫食い状態」多く一体的活用に課題

企業が進出する東松島市大曲浜地区の移転元地

 東日本大震災の防災集団移転促進事業で、宮城県東松島市が市内の移転元地174ヘクタールをどう活用するか課題に直面している。このうち約6割については、市の要綱に基づき企業に10年間無償で貸し付けるなど利用の見通しが開けた。ただ、防集事業の買い取りは任意のため元地を全て取得できるわけではなく、一体的な活用策などに頭を悩ませている。(石巻総局・水野良将)

 市によると、既に活用されているか利用の計画などがある元地は100ヘクタール。主な内訳は(1)大曲浜地区の産業系事業用地40ヘクタール(2)農業用の畑地28ヘクタール(3)観光・交流への活用地21ヘクタール(4)漁業用地11ヘクタール−となっている。
 このうち大曲浜地区には漁業や水産加工業など約15社が進出する見込み。営業所を再建した一力運輸(石巻市)は昨年春、第1号として進出した。
 震災前に地区内に構えた営業所が津波で被災し、トラックなど車両約90台の半数近くを失った。10年間無償で土地を借りられる市の制度を活用し再出発。同社幹部は「従業員の熱意や取引先の支えもあり、同じ地区で仕事ができることになった。震災前と同様、地域に密着していく」と話す。
 石巻市内の営業所が被災し大曲浜地区に移った宮城配電工事(仙台市)は、東松島市の土地代無償制度や三陸自動車道の石巻港インターチェンジに近い地の利などに着目したという。
 被災したJR仙石線旧野蒜駅に近い元地では今月26日、人材サービス業KDDIエボルバ(東京)が事業主体となって整備を進めた障害者らの農産物栽培拠点が開所する。
 地元の農業関係者は「地元には企業の資金力や福祉雇用のノウハウが不足している。元地が有効活用され人が集まれば活性化につながる」と期待を寄せる。
 残る市内の未利用・未計画の元地74ヘクタールは、草刈りやパトロールなど維持管理費だけで年間1000万円以上かかる。
 市が取得した元地と、現地再建した住民らが所有する元地とが混在する「虫食い状態」のエリアも少なくない。住民の中には「先祖伝来の土地を手放したくない」と言う人や、花を植えたり畑にしたりする人もいるという。
 市の担当者は「国費を投入してもらわなければ維持管理すら難しい。虫食い状態のエリアの活用は一筋縄ではいかず、一体的に活用できる方策を練ることが大事だ。優遇施策もさらに検討して利用率の向上を図りたい」と話す。

[メモ]東松島市は被災した沿岸部の市街地や集落を七つの移転促進区域に指定。内陸や高台に7カ所の防災集団移転団地を整備し、移転を図っている。対象世帯2321戸のうち1288戸が防集団地に移転する予定。計画した宅地は昨年11月に整備が完了し、災害公営住宅の整備率は約90%に上る。宮城県によると、県内の被災12市町が買い取った元地は昨年12月末現在で1097ヘクタール。石巻市の225ヘクタールが最も広く、東松島市168ヘクタール、気仙沼市109ヘクタール、仙台市108ヘクタールと続く。


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2017年09月20日水曜日


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