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<みやぎ考・復興の虚実>専門家に聞く 東北学院大准教授 斉藤康則氏

[さいとう・やすのり]東大大学院博士課程単位取得退学。大分大福祉科学研究センターなどを経て2011年4月から現職。仙台市内で被災者支援グループのアドバイザーも務めた。専門は社会学。東京都出身。39歳。

 宮城県知事選(10月5日告示、22日投開票)は、東日本大震災からの復興の歩みが問われる。人と防災未来センター(神戸市)の河田恵昭センター長と東北学院大の斉藤康則准教授に、県が展開する復興政策への評価や課題を聞いた。(宮城県政取材班)

◎2017宮城知事選/災害住宅孤立を防げ

 災害公営住宅のコミュニティー形成はハードルが高い。地域の人間関係はPTAやスポーツ少年団など子どもの成長過程を通し、親同士が結び付いて築かれるケースが多い。高齢化が進む災害公営住宅での再構築がいかに難しいかを、認識することが重要になる。
 阪神大震災ではボランティアが撤退後、孤独死が相次いだ。教訓を生かすことは大切だが、支援団体への過剰な助成には弊害もある。仮設住宅では連日のように復興イベントがあり、支援が入るほど被災者の主体性は失われた。国の復興予算がどう使われ、何をもたらしたか検証すべきだ。
 災害公営住宅に入居した被災者から「仮設に帰りたい」との声を聞く。長屋形式の仮設と違い、マンションタイプの災害公営住宅は閉鎖的な環境にある。騒音がなく住空間としては最適かもしれないが、人間らしく生きることとは違う。
 入居者を孤立させないためには、役割を与えることが必要だ。草むしりやごみ当番、掃除など、コミュニティー形成の種はまかれているように思える。地元町内会と連携して地域のマップ作りをするなど、住民同士の風通しを良くする取り組みが求められる。
 自治会組織の担い手確保に向け、県は積極的な姿勢を打ち出してほしい。例えば自治会長を非常勤公務員のような位置付けにし、一定の費用弁償をする。入居時の顔合わせ会などを後押しするのも有効だろう。組織が発足した後も、息の長い支援が欠かせない。


2017年09月20日水曜日


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