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<みやぎ考・復興の虚実>専門家に聞く 人と防災未来センター長 河田恵昭氏

[かわた・よしあき]京大大学院工学研究科博士課程修了。2002年4月の開館時から現職。関西大社会安全研究センター長、政府の中央防災会議防災対策実行会議委員も務める。専門は防災・減災学。大阪市出身。71歳。

 宮城県知事選(10月5日告示、22日投開票)は、東日本大震災からの復興の歩みが問われる。人と防災未来センター(神戸市)の河田恵昭センター長と東北学院大の斉藤康則准教授に、県が展開する復興政策への評価や課題を聞いた。(宮城県政取材班)

◎2017宮城知事選/被災地間格差解消を

 大震災の被災地で新たに形成されたまちは、寂しい所が多い。住宅地と商業地が分離し、にぎわいがない。多様な選択肢があるのに、居住地が軒並み高台に移転してしまった。
 明治三陸、昭和三陸の大津波の被害を受けた時代とは異なり、現在は10階建ての鉄筋コンクリートビルを建てるのは難しくない。1、2階を商業スペース、3階以上を居住空間にし、津波が来たら上に逃げる発想があってもよかった。
 高齢化社会の被災地で、若者の声がまちづくりに反映されなかったのではないか。若者が希望を持って生活し、稼げるまちになっているだろうか。例えば、大型漁船が停泊できる港を整え、情報技術を駆使する世界最先端の漁業を営む地域づくりがあってもいい。
 今は復興事業の公的資金で被災地の経済が回っているが、いずれ消える。人が集う商店街など戦略的なまちづくりが重要になる。宮城県や各市町は企業誘致で雇用の場を創出しようとしているが、「被災地を助けてください」と懇願する姿勢では実現しない。
 先端企業は世界で競争しており、被災地へのシンパシーだけで動いてはくれない。減税措置も必要だが、進出のメリットをどう打ち出して企業を呼び込むか、一層の努力が不可欠だ。
 地域間格差も生まれている。被災地全体の復旧復興を見渡すと、宮城県には市町村の面倒を見る発想が薄いように思える。財源も補うぐらいでなければ、県の存在意義が問われる。


2017年09月20日水曜日


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