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<横手5人死亡火災1カ月>社会の力集め 支援を

秋田市のNPOが開く精神障害者と支援者の集い。担当者は「精神障害者が自立した生活を送るには見守る存在が不可欠」と語る

 秋田県横手市南町のアパート「かねや南町ハイツ」が全焼し、5人が死亡した火災は22日、発生から1カ月を迎えた。入居者25人のうち17人に精神科の通院歴があり、アパートは退院した患者やグループホームでの共同生活を好まない人が地域で生活していく拠点だった。同様のアパートは秋田県内に少なく、焼け出された入居者の多くは行き場を失ったままだ。精神障害者が地域で暮らしていくための課題を「かねや南町ハイツ」から探った。(秋田総局・藤井かをり)

◎地域で暮らす精神障害者(下)見守り

<マナー違反も>
 精神障害者にとって重要な居場所だった横手市南町のアパート「かねや南町ハイツ」の入居者の中には、ストーブを消さずに出掛けたり、共有の食器を持ち出したりする人もいた。
 住み込みで管理人を務めていた男性(64)は、「他人の迷惑になる行為はやめて」という内容の張り紙をして注意を呼び掛けたこともあったという。
 男性は2015年11月ごろ、管理人に就いた。アパートを運営する仕出し業者「よこてフードサービス」=横手市、佐々木安弘社長(48)=から届く朝晩の食事の配膳と後片付けのほか、ゴミ出しや廊下、風呂などの共有スペース、喫煙所の掃除などをしていた。
 精神障害に関する特別な知識はない。「日常的なマナーを守れない入居者もおり、自分一人では手に負えない部分があった」。障害者を見守り支えていく活動の深遠さを知り、態勢が十分ではなかった実情を実感する。
 精神障害者にも、賃貸アパートの門戸を開いていた佐々木社長は「病状によっては、訪問看護やヘルパーを受け入れていた。見守りの態勢に問題はなかった」と話しながらも、「管理人を増やした方が良かったと思う時もある」と葛藤を口にした。
 精神障害者が1人で安定した生活を続けるのは容易ではない。「定期的に巡回訪問をするなどの支援が必要だ」と指摘するのは、メンタルクリニック秋田駅前(秋田市)院長で精神科医の稲村茂さん。「行政は障害者のニーズに応じて援助できる態勢を整えるべきだ」と強調する。

<福祉士が助言>
 先例となるのが横浜市。単身で暮らす障害者らを支援するため、01年度から障害者施設の社会福祉士や精神保健福祉士を「自立生活アシスタント」として約100人配置した。精神障害者約500人を含む市内の障害者約950人が登録し、訪問活動や電話相談などを通じ、家探しや衣食住の助言を受けている。
 市障害福祉部の担当者は「アパートを借りる際、アシスタントの存在を知って大家さんが安心することも多い」と話す。
 今回のアパート火災は、精神障害者が社会復帰を目指して生活する上で、居場所の確保が一つの障壁となり、周囲の支援がなかなか行き届かない現状を浮き彫りにした。
 身近に精神障害者と接してきた管理人の男性は「彼らを見守るためには、多くの人の力が必要」と語り、地域全体で支えていく態勢づくりの必要性を訴える。


関連ページ: 秋田 社会

2017年09月23日土曜日


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