岩手のニュース

<あなたに伝えたい>古里に戻り父と同じ道歩む

開業した歯科医院でカルテを入力する加奈さん

◎村上加奈さん(岩手県陸前高田市)徳行さんへ

 加奈さん 2013年7月、古里に戻って「むらかみ歯科医院」を開業しました。私には向いていないと歯科の道から離れていましたが、震災後「自分にはこれしかない」と思うようになりました。
 被災事業者としての補助は受けられず、借金をしてのスタート。陸前高田市も人口が減っています。パパは私に女の子としての幸せを願って「バカだな。さっさと結婚しろ」と思っているかもしれません。
 生前、一緒に仕事をした時期がありました。処置が早く判断も的確。何をやってもすごかった。私だと泣きだす子どもも、パパだと泣きやんだよね。怖い顔をしているのに。
 震災後、長年の地域貢献で表彰されていたと知りました。市で2歳児の歯科検診が廃止された時は「子どもにとって大事な時期にやらないなんて」と怒っていたと聞きました。仕事への思いを語ることは少なかったけれど、地域のために頑張っていたんですね。
 誕生日には、欠かさずプレゼントをくれた優しいパパ。津波でほとんど流され、残ったのはピアスぐらい。仕事中は着けられないけど、かわいくて大切にしています。
 開業医になって判断に迷う時は「パパならどう対処したかな」と考えるようになりました。同じようにはできないこともあるので、「仕事を継ぐ」という意識ではありません。自分なりに、目の前の患者さんときちんと向き合っていこうと思います。

◎長年、歯科医として地域に貢献

 村上徳行さん=当時(63)= 陸前高田市中心部で「村上歯科医院」を開業していた。患者の帰宅を見届けた後、東日本大震災の津波に襲われたとみられる。震災前日は、医大生だった長男の卒業式が盛岡市であり出席した。仙台市に住んでいた次女加奈さん(36)ら家族5人で記念写真に収まった。


2017年09月24日日曜日


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