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子ども支援の給付型奨学金 全国で創設の動き加速 仙台市は早期実現を

 経済的に困窮する子どもの進学を支援する給付型奨学金を創設する動きが、国や自治体で加速している。全国20政令市の現状を調べると、給付型はおろか貸与型の奨学金制度すらないのは仙台と広島の2市のみだった。郡和子仙台市長は7月の市長選で、市独自の給付型奨学金の創設を公約に掲げた。貧困が原因で意欲ある子どもの前途が閉ざされないようにするためにも、郡市長には早期の創設を求めたい。

◎ニュース深掘り/給付型奨学金の創設

 仙台市は以前より奨学金制度の必要性が議会などの場で指摘され、2005年には制度化に向けた条例案が議会側から提出された。当時、市側は「国や県、日本学生支援機構などに奨学金制度がある」と難色を示し、条例案は可決されなかった。
 だが、事情はどの自治体も同じだ。20政令市のうち18市が独自に奨学金を制度化し、その政令市がある多くの道府県も同様の制度を持っている。「他の奨学金があるから」というのは、理由にはならない。
 今年2月の仙台市議会定例会でも、市独自の奨学金制度を求める質問が相次いだ。奥山恵美子市長(当時)は答弁で「給付型は大きな財源が必要になり、貸与型は(返済不履行など)債権管理の問題が生じる」と従来通りの消極姿勢に終始した。
 給付型は確かに財源が大きな課題だが、例えば地元企業などに寄付を募り、基金を創設するのはどうだろう。受給者が仙台で職を得て定着することを促す形にすれば、税収などで給付分以上の還元効果が見込めるのではないか。人材を確保したい企業にもメリットがあるはずだ。
 貸与型は各種の奨学金で、返済の遅れや不履行が問題になっている。貸与型奨学金制度を持つ新潟市の担当者は「督促状を送っているが、貸した奨学金が100%返還されるのは難しい」と割り切る。それでも奨学金制度は必要、という行政の決意を感じた。
 名古屋市は本年度、給付型の奨学金制度を設けた。「以前から要望があり、国が始めたこともきっかけ」と説明する。自治体にとどまらず、東北大も10月に独自の給付型奨学金制度を始める。給付型創設の流れは今後も続くだろう。
 仙台市は奨学金の代替として、10年度から高校等修学資金借入支援制度を実施している。教育資金を借り入れた際に利子分を補助する仕組みで、最近の利用者は13年度が84人、14年度が70人、15年度は72人にとどまる。
 市は制度の周知不足を理由に挙げるが、教育資金そのものを求める多くの世帯のニーズに合っていないことも原因ではないか。学生時代に貸与型奨学金を受けて授業料を工面した身としては、利子の補助は弥縫(びほう)策にすぎないと思う。
 郡市長は6日の記者会見で給付型奨学金の創設に意欲を示す一方、「任期の4年間、長い目で見てほしい」とも述べた。その4年間に多くの子どもたちが進学問題に直面する。もっとスピード感を持って検討を進めてほしい。(報道部・八巻愛知)

[国の給付型奨学金制度]対象は大学、短大、高等専門学校、専門学校への進学者で住民税の非課税世帯。学力・資質基準などもある。特に経済的に厳しい生徒を対象に2017年度に先行実施しており、18年度から本格実施する。給付額は国公立大などへの自宅通学は月2万円、自宅外と私立大などへの自宅通学は月3万円、私立大などへの自宅外通学は月4万円。


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2017年09月25日月曜日


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