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<衆院選岩手>新2区は本州最大、なんと青森県並みの広さ 復興半ば「声届くのか」有権者憂い

今なお続く仮設住宅での暮らし。巨大選挙区に組み入れられた被災地の声は国政に届くのか=釜石市平田

 衆院解散が確実視される中、岩手県沿岸部の有権者が憂いの色を濃くしている。小選挙区の区割り改定で広大な選挙区となり、東日本大震災の被災地に山積する課題がかすみかねないからだ。国政選挙を繰り返すたび、被災地から政治が遠のいていくように映る。

 沿岸被災地を含む新岩手2区の面積は、青森県の総面積に匹敵する約9650平方キロ。選挙区割りの見直しで誕生した本州最大の小選挙区だ。
 迫る総選挙に山田町の災害公営住宅に住む佐々木宏作さん(75)は「候補者が来る回数は確実に減るだろう。まだ元の生活にはほど遠いのに、被災地の声をじっくりと聞けないのではないか」と気をもむ。
 県の人口推計によると、沿岸市町村は震災前から約2万9000人も減った(表)。新たに2区に入る沿岸南部は特に被害が大きく、減少が著しい。
 立候補を予定する自民党現職と民進党元議員は、いずれも旧2区の出身。沿岸南部のある市議は「選挙戦では(人口密度が高い)盛岡市近郊や(各候補の)地盤が重視されるのではないか」と危惧する。
 大槌町では、復興事業でかさ上げした中心市街地で、膨大な空き地の発生が懸念されている。
 ここに日用品店を再建する予定の越田征男さん(72)は、今後商売が成り立つのかどうか不安を抱える。「困難のただ中にある被災地の1票が、被災していない大都市の1票と平等でいいのか」と、区割り改定に疑問を拭えない。
 沿岸部の南端に位置する陸前高田市。大工熊谷光弘さん(63)は仮設住宅で6年以上暮らしてきた。
 ようやく来年早々にも防災集団移転事業で造成した宅地が引き渡される見通しとなった。ただ、分譲価格高騰のあおりで借地料負担が重くのし掛かる。
 総選挙になれば、震災後6年半で5回目の国政選挙。復興相は既に6人目だ。
 「以前の暮らしに少しでも近づけたいだけなのに、政治が被災者の現実に寄り添ってきたとは思えない。ますます置いていかれるようだ」と熊谷さんは焦りを募らせる。
 「どうしたら、俺たちの切実な訴えがきちんと届くのか」。総選挙を前に、被災者が政治に問うている。


2017年09月25日月曜日


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