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<リボーンアートは何をもたらしたのか>先例/交流拡大 継続の成果

地元の女性たちが朗読劇を交えて料理を提供したレストラン=8月20日、新潟県津南町

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の牡鹿半島などを舞台に、7月22日〜9月10日に開催されたアートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2017」。51日間に及ぶ大規模な祭典は、復興途上の被災地に何をもたらしたのか。19年開催の次回に向け、まつりの後を検証し可能性を探る。(石巻総局・関根梢)

◎再生の胎動(3)

 石巻市の牡鹿半島を主な会場として開催された「リボーンアート・フェスティバル(RAF)」は、アートのほか音楽、食を加えた総合祭をうたった。会場に設けられたレストランなどで著名なシェフらが腕を振るい、51日間の期間中は連日どこかで、ミュージシャンらが音楽を披露した。
 「石巻でさまざまな出合いをつくりたかった」。実行委員長の音楽プロデューサー小林武史氏(新庄市出身)は、狙いをそう語った。異なる分野が一つの総合祭で融合する新たなスタイルを模索した。

<地域づくり注目>
 近年、芸術祭を活用した地域づくりが注目を集める。地方芸術祭の先駆けとされる「大地の芸術祭 越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ」は2000年、新潟県南部の越後妻有地域(十日町市、津南町)で始まった。
 3年に1回本祭を開催し、15年は50日間で延べ約51万人が訪れた。恒久展示作品は約200点に上る。
 RAFと異なり、行政主導でスタート。越後妻有里山現代美術館といった拠点施設などハード面の整備も祭典とともに展開し、「芸術祭の里」を作ってきた。
 これまでに本祭を6回開催し、本祭のない年にも季節ごとにアートプログラムを実施。継続的な取り組みで都市部と地方の交流を拡大、深化させている。
 本祭を来年に控え、今年8月にあったプログラムでは、地元の女性たちが閉校した中学校を舞台に、演劇を交えたレストランを開いた。出演者の一人、農業大関和子さん(56)は「芸術祭が始まった頃は人ごとだった。今は普段の食をお客さんが喜んでくれるのがうれしい」と言う。

<支える都市住民>
 芸術祭を支えるのは都市部の若者らのボランティア組織「こへび隊」。来訪者を案内するほか、会期外にも農作業や雪かきなどで住民と交流を深める。
 04年の新潟県中越地震で、多くの「こへび」たちが支援に駆け付けた。こへび隊歴3年の東京都の会社員女性(40)は「地元の人に会うため、何度も足を運んでいる」と話す。
 芸術祭で生まれた都市部との交流は、棚田の保全など地域の課題解決にもつながっている。芸術祭を契機に移住した人もいる。
 大地の芸術祭が活況を呈して以降、札幌市の「札幌国際芸術祭」、千葉県市原市の「中房総 国際芸術祭いちはらアート×ミックス」、長野県の「北アルプス国際芸術祭」、岡山・香川県の「瀬戸内国際芸術祭」…と、各地で芸術祭が乱立気味だ。
 NPO法人越後妻有里山協働機構の担当者は「今後はアートだけで人を引きつけるのは難しくなるだろう」と危惧する。食と音楽を取り入れたRAFには注目し「うちも1年目は大変だった。成果を出すには継続が必要」とエールを送る。


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2017年09月26日火曜日


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