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<リボーンアートは何をもたらしたのか>当惑/熱気、情報 地域に届かず

盛況のうちに幕を閉じた「リボーンまつり」

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の牡鹿半島などを舞台に、7月22日〜9月10日に開催されたアートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2017」。51日間に及ぶ大規模な祭典は、復興途上の被災地に何をもたらしたのか。19年開催の次回に向け、まつりの後を検証し可能性を探る。(石巻総局・関根梢)

◎再生の胎動(2)

<閉幕 人波消える>
 「地域や行政の皆さんから『続けていいよ』という切符をもらった感じ」
 総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2017」最終日の10日、実行委員長で音楽プロデューサーの小林武史氏は51日間の祭典を振り返り、手応えを語った。
 石巻市中心部の中瀬公園で開かれた閉会イベント「リボーンまつり」。多くの市民が盆踊りに参加し、熱狂のうちに幕を閉じた。
 RAFは、東日本大震災後に人口流出が続く牡鹿半島に多くの来訪者を呼び込んだ。閉幕から約2週間。人波はもうない。
 「私たちが目指すのは地域との『共創』。住民と対話しながら、楽しんで関わってもらえる関係を築かなくてはいけない」。実行委の松村豪太事務局長は、地域とRAFの関係をこう説明する。「現時点ではベストを尽くせた」と言うが、19年の次回開催に向けて課題は多い。
 被災者の自立支援事業や牡鹿半島の課題解決に取り組む一般社団法人「サードステージ」の杉浦達也代表理事(39)は「どれだけの住民が今回のRAFを『自分ごと』と捉えられただろうか」と問い掛ける。
 イベントの詳細がつかみ切れず、不安が不満に変わった側面は否めない。「住民の協力を得るには心を動かすことが大切。次回は『みんなで作り上げた』と胸を張れる祭典にするため、実行委は地域の声にもっと耳を傾けてほしい」。杉浦さんはそう願う。
 牡鹿半島の民宿の若旦那目黒繁明さん(44)は「素直に『またやってほしい』とは言えない」と打ち明ける。民宿の予約件数は今夏、昨年の1.5倍に増えたものの、個人客で部屋が埋まり団体客が減少。売り上げは昨年を下回った。
 「長期開催されるRAFは地域や住民への影響も大きい。次回に向けて戦略を練る必要がある」

<SNS通じ告知>
 RAFが地域に巻き起こすうねりを、地域の活力にどうつなげるか。事業者や関係団体は活路を模索したが、情報不足が足かせになった。
 石巻市観光協会の佐藤香澄事務局長は「会期前から問い合わせが多く寄せられたが、直前まで内容が明らかにならず、満足に案内できなかった」と悔やむ。
 会期中は連日、音楽イベントが開かれた。ただ、一期一会の出会いの場を創り出そうという実行委の狙いから、会員制交流サイト(SNS)などで直前に告知するケースが目立った。
 石巻、東松島、女川3市町の観光地域づくり推進法人(日本版DMO)「石巻圏観光推進機構」の斉藤雄一郎理事は、その手法を一面で評価しつつ、注文を付ける。「地元に事前に情報が周知されていれば、われわれももう一歩踏み込んだおもてなしができたのではないだろうか」


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2017年09月25日月曜日


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