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<仙台PS>環境評価・温暖化防止問う

 仙台市宮城野区で試運転中の石炭火力発電所「仙台パワーステーション(PS)」を巡る訴訟は、東京電力福島第1原発事故後に相次いで計画された石炭火発の運転差し止めを求める国内初のケースとなる。大気汚染に対する住民不安など事業者の説明責任を問うだけでなく、石炭火発の在り方にも一石を投じそうだ。

 石炭火発の新設計画は2012年以降、全国で45基に上る。このうち宮城、秋田、福島3県の13基の中で国の環境アセスメント実施基準(11万2500キロワット)を下回るのは7基。7基中6基は自治体による条例アセスの対象で、仙台PS(11万2000キロワット)だけが対象外となっている。
 このため仙台PS側が操業前に環境影響を調査・評価し、自治体や住民の意見を踏まえて環境保全策を講じる機会はなかった。地域住民から「法の網を擦り抜け、より良い環境対策を実施することを放棄した」と批判されるゆえんだ。
 原告側の高橋春男弁護団長は「アセスを逃れ、住民が自主アセスの実施を求めても応じていない。住民説明会もずさんで、操業は許されない」と強調した。
 原告側は、温室効果ガスの排出量が多い石炭火発の存在そのものにも疑問を投げ掛ける。
 排出量削減に向けた国際ルール「パリ協定」が発効し、日本政府は30年度に13年度比でマイナス26%の国際公約を掲げる。国内の石炭火発計画が全て操業すれば公約達成は困難で、国際的な潮流にも逆行する。
 神戸大大学院の島村健教授(環境法)は「国の法規制が不十分だ。訴訟が石炭火発問題を社会に提起する意義は大きい」と指摘。
 世界的に石炭燃料への課税や規制が拡大する中「30年以上稼働しないと元が取れない石炭火発は経済リスクも高い。これに訴訟リスクが加わり、他の計画にも影響を与えるだろう」と分析する。
 東北でも、大船渡市で計画された石炭火発がバイオマスに転換する事例が出ている。


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2017年09月28日木曜日


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