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<衆院選東北>「出来秋に解散なんて…」農家困惑

一関市では稲刈りが始まり、繁忙期の衆院選に農家は迷惑顔だ

 降って湧いたような衆院解散・総選挙に、農産物の収穫や出荷で大忙しの農家が困惑している。自民党など保守陣営の選挙戦は、農村部に根を張る「草の根保守」にポスターの掲示や集会の動員で協力を仰ぐのが常とう手段。「出来秋に解散なんて…。農家の事情が分かっているのか」。田園に恨み節がこだまする。

 北上川に沿って穀倉地帯が広がる岩手県南部は、稲刈りが始まったばかりだ。奥州市前沢区のコメ農家鈴木哲也さん(74)は「農民票を大事にする昔の自民党なら農作業を無視するなんて考えられなかった」と首をかしげる。
 鈴木さんは水田5ヘクタールで「ひとめぼれ」と岩手県産米の最高級品種「金色(こんじき)の風」を栽培しており、10月中旬まで刈り取りや乾燥、脱穀作業と多忙な日々が続く。特に金色の風は、目前に市場デビューを控えた大事な時期だ。
 県や農協が28日に予定していた刈り取りセレモニーは、衆院解散の日とかち合った。10月8日の販売開始を皮切りにPRイベントを繰り広げるが、衆院選は10月10日公示−22日投開票の日程になるとみられる。
 関係者は「農業関係者が総力を結集して世に送り出す勝負のコメ。巨費を投じる宣伝が選挙カーの音声にかき消されてしまわないか」と気をもむ。
 市議選(10月1日投開票)真っただ中の一関市。農事組合法人代表の男性(68)は「市議選は多少手伝うが、衆院選にはみんな白けている」と語る。「地域農業を守ってきた以前の自民党とは違う。最近は荒っぽさが目立つ」と苦言を呈した。
 こうした農家の不興を肌で感じているのが、自民党候補の地元秘書たちだ。
 田園地帯を地盤とする陣営の事務所は「安倍晋三首相には、収穫期の解散・総選挙だけは避けてほしかった。選挙応援で党幹部が何度も選挙区に入ることになれば支持者の負担も大きくなる。どうしたものか」と頭を抱えた。


2017年09月28日木曜日


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