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<衆院解散・総選挙>まやかし見破る目を

◎報道部長 木村正祥

 意表を突き、自己都合を優先する姿勢は無責任とのそしりを免れまい。「国会軽視」「大義がない」。衆院解散断行に批判が噴出しているが、その受け皿を目指す勢力は一気に再編を加速させ、国民はあっけにとられている。離脱、解党、合流。「打倒安倍政権」を旗印に掲げるが、唐突な糾合は野合ではないのか。冷静に見極める必要がある。
 「仕事人」と自賛した内閣は2カ月弱で、どれだけの成果を上げたのか。安倍晋三首相は森友・加計(かけ)学園問題で国民の不信を招いたことを謝罪し、謙虚に丁寧に説明責任を果たすと強調した。その当人が臨時国会冒頭で衆院を解散し、約束をほごにした。
 今度の総選挙は震災後6年半で5度目の国政選挙。復興相は6人目だ。中にはスキャンダルの釈明に追われたご仁、「まだ東北でよかった」と発言し、辞任に追い込まれた人もいる。
 宮城、岩手、福島の被災3県でいまだ約8万7000人が避難生活を余儀なくされている。1万戸以上のプレハブ仮設住宅に被災者が住む。
 被災者は口々に言う。「家族が集う生活を取り戻したいだけだ」。政治家はプレハブ暮らしを体験してみたらいい。「被災者の心に寄り添う」などと軽々に語るべきでない。復興の加速へ気概と地に足を付けた議論を切望しているのだ。
 私たちが住む東北は8月と9月、北朝鮮の弾道ミサイルが着弾する危険にさらされた。安全保障上の危機が目前で急速に膨張しているだけに、政治空白を生む解散・総選挙はあり得ない−。これが庶民感覚だ。
 地域社会は政局急転に振り回され、困惑を深めている。生活再建がままならない被災者、人口減で衰退一途の地域も多い。政治家は足元の課題と実直に向き合ってきたのか。覚悟を問い直し、まやかしを見破る目を持ちたい。


2017年09月29日金曜日


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