岩手のニュース

<東北の道しるべ>松食い虫被害の木でギター製作

明治時代ののこぎりを使い、アカマツを切り出す小田島さん。ギター製作は全て手作業だ

 遠野市在住のギター職人小田島尚人さん(37)が、松食い虫の被害に遭ったアカマツを使ったギター製作に取り組んでいる。これまで「きずもの」とみられていた木材を有効利用し、ギターの材料としての岩手県産材の良さをアピールするのが狙いだ。「価格が低迷する木材に新たな価値を加え、森林と林業を守りたい」と意気込む。

 小田島さんが手掛ける「アーチトップギター」は胴体表面の膨らみが特徴。オーダーメードで1本30万円から販売している。製作に2〜3カ月かかり、納品まで5年待ちの状況という。
 北上市出身で元々木工が好きだった小田島さんは、米国での修業を経て2006年2月、北海道和寒町に工房を構えた。エゾマツに目を付けて製作したギターは、奏でる音の良さが評判になり、後に続く職人も現れるようになった。
 小田島さんは「ギターを作れるのは、長い歴史の中で森と木を守ってきてくれた人たちのおかげ。エゾマツの利用拡大で少しでも利益を生み、林業の活性化に貢献したいとの思いがあった」と語る。
 14年9月には父親が住む遠野市へ移住。松食い虫被害の深刻さを知り、今度はアカマツに挑み始めた。材質が硬く、しなりが弱いという難点は、板を極限まで薄く削り、和紙を貼って補強するなどの工夫で克服できると見込んでいる。
 ギター製作は海外産「ローズウッド」が主要な材料だが今年1月、ワシントン条約で輸出入の規制対象に追加された。メーカーは代替木を探している。
 スギやケヤキでも試作している小田島さんは「国内外のメーカーに県産材を売り込むチャンスだ。そのきっかけとなれるようなギターを作り上げたい」と意気込む。県産材の新たな需要を掘り起こそうと、ギター職人の試行錯誤が続く。


2017年10月01日日曜日


先頭に戻る