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<衆院選東北>激流(上)自民の誤算/突風 現職閣僚も危機感

気勢を上げる安倍首相(右上)と、支持固めに奔走する宮城県内の立候補予定者(右下)のコラージュ。左は国会議事堂

 急転直下の衆院選(22日投開票)は公示まで10日を切った。1強体制の維持をもくろむ安倍政権に対し、民進党をのみ込もうとする小池新党が真っ向から勝負を挑む。与野党が絡み合う再編劇と、加速する攻防の激流。東北各地の前哨戦を追う。(衆院選取材班)

 突如、巻き起こった風が現職閣僚の不安をかき立てる。
 衆院解散翌日の9月29日。いわき市で後援会の緊急集会を開いた自民党前議員で福島5区から立つ復興相吉野正芳(69)は「地方でも都会と同じ大風が吹く。大嵐になる前提で戦わないと大変なことになる」と危機感をあらわにした。
 昨年夏の参院選福島選挙区で、4選を期した地元選出の現職閣僚(当時)が野党統一候補との一騎打ちに敗れた。6県で1勝5敗と惨敗した東北の自民は、上昇気流をつかめないまま、事実上の選挙戦に入った。
 首相安倍晋三は「国難突破」を掲げ、総選挙を仕掛けた。迷走する民進党、準備不足の新党を横目に、議席を減らしてでも短期決戦で押し切るという目算は、東京都知事小池百合子が希望の党代表に就いた25日に狂い始めた。

<何を訴えれば>
 首相は1年半後の消費税増収分の使い道の変更、北朝鮮への圧力路線などについて国民の信を問うと強調したが、臨時国会冒頭の解散は森友、加計(かけ)学園問題封じとのそしりを免れず、野党から「大義なき解散」と攻撃を受ける。
 「そもそも目玉の政策がない。有権者に何を訴えればいいのか」「支持者に選挙の理由を明確に説明できない」。宮城県内の自民関係者らからも、恨み節にも似た声が漏れる。
 希望の参戦と民進の合流で、「自公対希望」の様相が一気に強まる。新党の勢いを前に、与党側は1強の看板に依存した「安倍政治」そのものを問われ、守勢を強いられる。
 岩手2区の自民前議員で五輪相の鈴木俊一(64)は、県の沿岸南部を中心とした7市町が編入された新たな区割りで戦う。東日本大震災で甚大な被害を受け、今も多くの被災者が仮設住宅で暮らす地域だ。
 2区の支部会合を30日に釜石市で開いた鈴木は「希望のブームは今がピークだ」と警戒しながらも、「足元の選挙だけを考えている党の不透明さに有権者はいずれ気付くはずだ」と強がってみせた。

<なぜ今なのか>
 比例東北で立候補を予定する公明党前議員の党幹事長井上義久(70)は29日、仙台市内であった党県議の会合で、新党の準備不足を指摘し「国民の生活を守るという政権に課せられた最大の使命を果たせるのは自公しかない」と強調した。
 安倍が「国難」とした緊迫する北朝鮮情勢など安全保障問題に対応するため、宮城6区に立つ自民前議員の防衛相小野寺五典(57)は、選挙期間中も東京都内にとどまり、野党からの「政治空白」との批判をかわす役割を負う。
 8月の内閣改造で入閣して以降、一度も選挙区入りしていない。候補者不在の選挙戦を前に、地元の党関係者は「解散は総理の専権事項だが、本音で言えば唐突。なぜ今なのか」と戸惑いを隠せずにいる。
(敬称略)


2017年10月01日日曜日


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