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<仙台圏私のベスト本>(4)「眼の誕生」生物の進化 仮説に感心

大隅典子さん

 読書の秋真っ盛り。仙台圏の方々にイチ推し本への愛を語ってもらった。

◎東北大大学院医学系研究科教授 大隅典子さん(56)=仙台市青葉区 

 カンブリア紀(5億4300万〜4億9000万年前)に魅力を感じる人は多いでしょう。46億年の地球の歴史の中で、生物はなぜこの時期に爆発的に進化したのか。
 その鍵は「眼(め)」にある−。「眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く」(アンドリュー・パーカー著。渡辺政隆、今西康子訳。草思社)で、著者は大胆な仮説を打ち立てます。
 カンブリア紀初期の500万年に生物が眼を獲得したことで、捕食者と被食者の関係が激化し、互いに進化を繰り返して多様性につながったと。謎解きのように読み進められる本です。
 書評を見てすぐ第1刷を入手しました。「In the Blink of an Eye」(瞬きする間に)という原題がすてきです。化石や光学の話を経て、眼の誕生のくだりに来た時はまさに「目からうろこが落ちる」思いでした。
 大学院医学系研究科で、脳の発生発達を研究しています。出張の移動時間などに本は大切なお供です。科学の真理の探究と通じるミステリー小説が好きですが、最近は書評を頼まれるので、ノンフィクションを読むことが多いですね。
 発生や進化といった時間軸に沿って大きく変化するものに興味を引かれます。自著「脳からみた自閉症」(2016年、講談社)は、発達障害とは何かということを脳科学の専門家として分かりやすく解説しました。自閉症も人間の多様性と考えています。「多様性」は2冊の本に共通するキーワードです。
(上村千春)

[メモ]英国人科学者の著者が古生物学、物理学などの観点から事実を積み上げ、カンブリア紀の大進化をひもとく。生物が光を視覚信号として利用し始めたことで、世界が一変したとする「光スイッチ説」を提唱。カンブリア紀の大爆発の謎解きに一石を投じる。


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2017年10月02日月曜日


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