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<ニッポンで共に生きる>言葉や制度に高い壁

外国にルーツのある親子向けにSenTIAなどが製作するパンフレット。学校生活や行事、サポートメニューを紹介する

 日本に住む外国人が増え、外国にルーツのある子どもが公立の小中高校で学ぶケースが珍しくなくなった。その一方で日本語を理解できないまま、異なる文化の中で必死に生きる子どもが少なくなく、学校の教師や支援団体が中心になって懸命にサポートする。宮城県の現状を取材し、課題を探った。(生活文化部・越中谷郁子)

◎外国にルーツある子の今(1)困難の中で

<中学編入できず>
 「日本に来たとき、日本語は何も分からず、友達ができるまで大変だった」。仙台市内の高校に通うネパール出身の少年(16)は、そう振り返る。
 2007年に家族とネパールから来日し、小学校に入学した。ネパール語、英語が分かる先生がおらず、言葉が壁となって半年間、友達をつくれなかった。習慣、食文化の違いにも戸惑ったという。
 宮城大3年の鈴木華珠(はな)さん(22)は、日本人の父、フィリピン人の母を持つ。日本で生まれ育ち、8歳のときに親とフィリピンに戻り、16歳で再び来日した。日本語はすっかり忘れていた。「人見知りで、困っても自分からなかなか言い出せず苦労した」と語る。
 家では日本語、フィリピンの公用語のタガログ語と英語が飛び交う。「自分の母語はどれ?」と混乱、何も話せない時期があった。
 外国語による情報提供や、日本語学習と生活サポートなど外国人支援事業を手掛ける仙台市の外郭団体、仙台観光国際協会(SenTIA)には多種多様な相談が寄せられる。
 学校教育の相談は対応が難しい場合がある。母国の中国と日本を何度も行き来した16歳の子は、教育を十分受けられなかったため、今年1月来日した際に、中学3年編入を希望したが、願いはかなわなかった。
 SenTIAは3年生をやり直す方法を模索したが、義務教育の年齢を超えるため不可能だった。今、その子は市民団体のサポートを受け、高校受験に向けて勉強しているという。
 SenTIA国際化事業部の堀野正浩さんは「日本語が不十分なまま、学校にも行けず学習の機会を奪われる。公的な支援がない中で必死に生きる子が現実にいる」と実情を話す。

<親子で孤立例も>
 言葉の壁は高く、支援が必要な子は年々増えている。文部科学省の調査によると、日本語指導が必要な子どもは16年度、全国の公立小中高校で外国籍、日本国籍の子合わせて約4万4000人と4万人を超えた。
 宮城県で日本語指導が必要な外国籍の子は73校に108人(小学生71人、中学生30人、高校生7人)、日本国籍の子は41校に56人(小学生38人、中学生17人、高校生1人)が在籍。14年度の前回調査に比べ外国籍の子は1.4倍、日本国籍の子は1.6倍となった。
 日本語の習得には、日常会話が6カ月〜1年、学習用語は7年かかると言われる。親が理解できないと、困ってもどこに助けを求めたらいいか分からず、親子で孤立するケースもある。
 「子どもは、親の都合で突然異文化に放り込まれる。言葉をはじめ困難に直面している子どもを社会全体で支援しないと、その子の将来が閉ざされてしまう」。SenTIAの堀野さんは強調した。

[メモ]外国にルーツのある子どもは、両親もしくはどちらかが外国出身者の子を指す。外国籍のほか、日本で生まれて日本国籍を持つ子もいる。2016年末の在留外国人は全国で約238万人、前年末比6.7%増えた。宮城県には約1万9000人が住む。学校基本統計調査(16年度)によると、小中高校に在籍する外国籍の子どもは全国約8万5000人、宮城県380人。日本国籍で外国にルーツのある子どもについては把握が難しく、正式な統計はない。


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2017年09月20日水曜日


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