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<衆院選東北>激流(下)共闘の分断/リベラルに新たな箱舟

昨年の参院選で共闘した野党(左上)と、憲法9条改正に反対する集会(右上)のコラージュ。下は民進、共産両党幹部の会談

 「排除の論理」に追い詰められたリベラル派の残党が、反撃の旗を掲げた。

<敵意にじます>
 「民主主義が脅かされ、立憲主義が破壊されている。国民の生活と安心、立憲主義を守る」。2日夕、新党「立憲民主党」の設立を表明した民進党代表代行の枝野幸男は、希望の党への敵意をにじませた。
 民進代表前原誠司が、東京都知事の小池百合子率いる希望との合流方針を表明してから、わずか4日。小池が巻き起こした熱風に、野党共闘と民進の結束はもろくも分断された。
 予兆はあった。憲法9条改正と安全保障関連法を容認し、保守色を鮮明にする小池。9月29日には、民進出身者のうち、政策が一致しない公認希望者を合流させないと明言した。
 改憲と安保に反対する民進左派に踏み絵を迫り、安倍1強と激突する「戦艦」からリベラル勢力を一掃する狙いが見え隠れする。
 生殺与奪を小池に握られて漂流する仲間を救うため、枝野は新たな箱舟をこぎ出した。「希望の理念や政策は私たちが積み重ね、目指す方向性とは異なる。政治家として譲ってはならない筋だ」と強調した。
 宮城2区で再起を狙う民進系元議員鎌田さゆり(52)は、安保法制反対などを掲げる市民団体と行動を共にし、希望と自身の政治理念の隔たりに揺さぶられていた。「リベラルの旗が途切れず良かった。有権者に選択肢を示すことができる」と枝野新党を歓迎、合流も視野に入れる。

<共産 仁義貫く>
 新党と距離を置き、背水の陣で1人、戦いに臨む動きも全国で相次ぐ。
 「無所属で出ることにしました。よろしくお願いします」。2日早朝、共産党宮城県委員長中島康博の携帯電話が鳴った。元民進代表代行で、宮城5区に立候補を予定する安住淳(55)からだった。
 共産は1日、宮城6選挙区のうち、5区の公認候補擁立を見送った。民進は安住を含む候補予定者5人の公認申請を希望に提出する方針を示していたが、中島は野党共闘に尽力してきた安住への仁義を貫いた。
 昨年の参院選で、宮城の民進、共産、社民3党は全国に先駆けて共闘を結び、勝利した。安住が「宮城方式」と名付けた選挙協力は、今年7月の仙台市長選でも力を発揮した。
 安住は2日午後、石巻市で記者会見し、無所属での立候補を正式表明した。中島は「前向きに支援を考える」と言う。消えかけた共闘の火は、かすかにともり続ける。
 「バラバラに戦っても自民を利するだけだ」とジレンマを抱えながら警告を発する安住。民進「解体」の行き先と、希望を軸にした対抗勢力の構図がいまだ見えない中、衆院選は10日の公示まで1週間に迫った。(敬称略)


2017年10月03日火曜日


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