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<白石・鬼小十郎祭り>市民主体で合戦再現

ほとんどが未経験者ながら、迫真の演技で会場を沸かせた第1回の合戦シーン=2008年10月4日

 400年前の乱世に、白石城が年に1度だけタイムスリップする。「鬼」と称された猛将片倉小十郎重長と、「日本一の兵(つわもの)」真田幸村の軍勢との合戦を再現する白石市の「鬼小十郎まつり」は7日、10回目を迎える。市民と全国各地から集うエキストラが情熱を傾けてきた歩みをたどる。
(白石支局・村上俊)

◎みやぎ路 気炎万丈(上)初陣

 地鳴りのような雄たけびを上げ、赤と黒の甲冑(かっちゅう)軍団がぶつかり合う。総勢120人が荒ぶる歴史絵巻が、城下町白石の秋を彩る。
 「白石でしかできない祭りをつくって盛り上げようと夢中でやってきた」。鬼小十郎まつり実行委員長の森建人さん(48)が感慨深げに振り返る。
 十数年前、人気ゲームソフトの「戦国BASARA」シリーズなどで仙台藩祖伊達政宗を支えた白石城主片倉小十郎景綱に注目が集まり、歴史好きの「歴女」や武将ブームで若い観光客が目立つようになった。
 景綱生誕450年の2007年ごろから、新たな誘客策として歴史イベント開催の機運が高まり、森さんら若手経済人や市職員有志を軸に実現へ動きだした。
 目を付けたのは景綱の長男重長。1615年の大坂夏の陣、猛者ぞろいの真田軍を破った道明寺の戦いで「鬼小十郎」の異名を取った。活躍ぶりは敵方にも認められ、大坂城落城前日に幸村が娘阿梅(おうめ)らを託し、阿梅はその後重長の妻に−。そんな秘話を持つ武将だ。
 2008年10月の「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」に合わせようと、慌ただしく準備が進んだ。
 貸衣装の甲冑隊60人の多くはスタッフの知人や市職員。地元の消防署員や新体操教室の生徒が忍者隊でアクションを披露し、高校弓道部が弓隊を務めた。
 「初陣」を見守ったのは、3000人の観客。大きな拍手が沸き起こり、熱演に目を赤くする人もいた。
 計画段階から携わる市企画情報課課長補佐の橋谷田孝治さん(49)は「ノウハウのある会社に任せれば簡単にできたのかもしれないが、市民主体の取り組みを支援し、成功につながったことが自信になった」と手応えを感じた。
 甲冑隊は全国から募集で集まる。観客は4500人、5000人と順調に伸びた。4回目の準備を始めていた11年3月、東日本大震災が起きた。
 城のシンボル三階櫓(やぐら)の白壁は痛々しくはがれ落ち、大きな影響を受けた実行委メンバーもいた。片倉鉄砲隊の火縄銃演武が人気の市民春まつりは中止された。
 「大変なときだからこそ、エキストラも観客も元気になって楽しめる祭りを続けたかった」と、合戦シーンを担当する実行委道明寺部会長の佐藤由佳さん(41)。募金に励むエキストラにも背中を押され、無事開催。前年を大きく上回る8000人が会場を埋めた。
 初回からまつりを支えてきた市歴史文化アドバイザーの麻生菜穂美さん(57)は、この先を見据えて願う。
 「白石の誇れる歴史や文化を市民が再認識し、市外に広く知ってもらえる機会。まち全体ににぎわいが広がるよう大切に育てていきたい」

[ガイド]武者行列が7日午前11時にJR白石駅前を出発。メインの「道明寺の戦い」は白石城本丸広場で午後1時から。市中心部では人力車、忍者体験や着物姿での街歩きなどを楽しめる。連絡先は事務局0224(22)1324。


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2017年10月04日水曜日


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