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<週刊せんだい>今も息づく昭和の風景(1)駄菓子屋 世代間の会話取り持つ

所狭しと陳列された駄菓子を前に、品定めをする買い物客=仙台市青葉区のエスパル
柳井さんが探し出した大阪製「パレード」(中央)。山元製とは違うが「雰囲気だけでも味わってほしい」という=仙台市青葉区の錦ケ丘ヒルサイド

 駄菓子屋、ドーナツ盤、スーパーカーにオカルト本…。平成の世にありながら、街のあちこちで「昭和」の香り漂うお店や商品、出版物を多く見掛けます。
 10月の「週刊せんだい」のテーマは「今も息づく昭和の風景」。40代後半以上のおじさん、おばさん世代が少年少女だった1960年代後半から80年代にスポットを当てます。当時人気だった遊びや、話題となった文化風俗を振り返りながら、今も人々を魅了する昭和の魅力について考えます。

◎時代超え楽しみ不変 思い出の炭酸飲料陳列

<2000人来客も>
 背番号1の、すごいやーつが相手−。
 国民的アイドル、ピンク・レディーが「サウスポー」を歌い、プロ野球巨人軍王貞治選手の本塁打記録に日本中が興奮していた1970年代後半。少年少女の放課後の楽しみといえば、友だちと連れ立って行く学校近くの駄菓子屋、仙台弁でいう「とすけ(くじ)もの屋」だった。
 秋冬物の女性服が並ぶファッションビル「エスパル」(仙台市青葉区)の一角。真っ赤なのれんが人目を引く。「だがし屋ぞうさん」。小中学生はもちろん、買い物帰りの女性客や女子高校生もやってくる。
 「平日だと約1000人、週末には2000人ぐらいが訪れる」と話すのは店長の村井健治さん(61)。きなこ棒、梅こんぶ、酢イカにラムネ−。品定めする客の目は真剣だ。
 小学生男子に人気なのは、10円の金券付き菓子。ふたをめくって「10円」「30円」など当たりが出ると、その場で他の菓子と交換できる。女子の目当ては、有名アイドルグループの「袋入りブロマイド」。中身が誰か買ってみないと分からない。好きなメンバーが当たるまで何度でも買うという。時代は違っても「とすけもの屋」の楽しみは不変だ。
 袋いっぱいに駄菓子を買い込んだ50代の女性は「昔よく食べたもので孫も大好き。自分の小さい頃の思い出を話したりしながら食べます」という。駄菓子は世代間の会話を取り持つツールでもある。

<定番は「パレード」>
 仙台の子どもたちの定番の飲み物といえば「パレード」。
 駄菓子・駄玩具の店「おもちゃの花子とルル」(仙台市青葉区錦ケ丘)を営む柳井祥さん(50)は、2014年の開店に際し、思い出の炭酸飲料を扱うことにこだわった。仙台市宮城野区名掛丁の「長屋」育ち。少年時代、近所には駄菓子屋が3軒もあり、パレードは「生活の一部」というほど身近な飲み物だった。
 全国清涼飲料連合会が1965年につくった中小メーカーの統一ブランド。宮城県では山元町の工場が、中断を挟みながら東日本大震災直前まで製造していた。残念ながら現在は生産していない。
 柳井さんは、全国でも数少ない製造会社を大阪市内で見つけ、店頭に並べた。山元製とは商標が同じだけ。味も瓶も別物だったが、雰囲気だけでも味わってほしかった。
 「昔を知るお客さんは『これ違うよ』と言いながらも買っていきます」と柳井さん。パレードの文字に何かを重ね見ているのかもしれない。

[メモ]「だがし屋ぞうさん」を運営する卸会社「村井幸蔵商店」によると、1957年の創業当時、仙台市内には卸先として約100軒の駄菓子屋があった。現在は約20軒で、そのうち昔ながらの家族経営は約10軒。近年はゲームソフト販売店やリサイクルショップなどでも駄菓子を扱う店が出てきているという。

◆◆懐古モノがたり

◎おもちゃ自販機「ガチャガチャ」/喜びや悔しさ思い出す

 漫画ヒーローキン肉マンの消しゴム、アイドル写真にコイン入れ−。駄菓子屋や文房具店の店先に置かれ、バラエティーに富む品ぞろえで少年少女を夢中にさせたおもちゃ自販機、通称「ガチャガチャ」。仙台市出身のタレントワッキー貝山さん(47)は、その魅力に取りつかれた一人だ。
 出合いは荒巻小2年の時。学校近くの駄菓子屋で見慣れない機械があるのを見つけた。急いで帰宅し、小遣いを握りしめて店に戻ると、代金20円を投入してハンドルを一回し。スーパーカー消しゴムだった。
 100円の小遣いで5回も挑戦できる手軽さが魅力だった。中には粗悪品も多く、「カプセルを開けたら『石』が入っていたこともあった」と振り返る。「それだけに本物の良さがよく分かりました」と笑う。
 ガチャガチャを「タイムマシン」に例える。入っていたおもちゃを見ると、その時のうれしさや悔しさを思い出すからだ。
 コレクションは現在10万点を数える。好きが高じて関連本を4冊も書いた。「誕生して50年、もはや立派な文化です」と言い切る。
 今でも仕事で各地へ出掛けると、車窓から沿道の商店に目を光らせる。ガチャガチャを見つけ次第、車を降りて確認する。「1カ月に25種類の新商品が出る。チェックは欠かせません」と顔をほころばせた。

これまでに購入したガチャガチャ玩具の数々とワッキーさん

関連ページ: 宮城 文化・暮らし

2017年10月05日木曜日


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