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<遠野市長選>8日告示 道路整備、好機生かせるか

18年度の全線開通を目指して急ピッチで工事が進む釜石花巻道路=遠野市

 任期満了に伴う遠野市長選は告示(8日)まで3日と迫った。2018年度に東北横断自動車道釜石花巻道路(80キロ)の全線開通を迎える同市。古来、交通の要衝だったまちを横切る高速道がもたらすのは「素通り」の危機か、それとも「立ち寄り」の好機か。次期市長の手腕が問われる。(釜石支局・東野滋)

<観光客は減少>
 釜石花巻道路は15年12月、遠野インターチェンジ(IC)の利用が開始された。その分、周辺国道の交通量は4割減少した。
 市観光協会の運萬(うんまん)勇事務局長は「遠野を訪れやすくなったのに、観光客は増えていない。現在は市内で途切れている高速道が全通すれば、通過点になる恐れがある」と懸念する。
 実際、観光客は近年では10年度の約65万人をピークに、16年度は約45万3000人と減少傾向が続く。
 多くの名所があっても観光客が宿泊するのは、市外の温泉地がメインだ。観光関係者は「遠野物語や田園風景に引かれる観光客にとって遠野は十分に『目的地化』しているのだから、あとは宿泊を伴うイベントなどの仕掛けが求められている」と話す。
 観光協会は現在、仙台圏をターゲットにPR活動に力を入れる。18年度には宮古市境の立丸峠で国道340号のトンネル化工事が完了。悪路の改善による往来の活性化にも期待を寄せる。
 「全通を遠野観光のマイナス要因にしてはいけない」と力説する運萬事務局長。ただ観光協会の職員は8人だけで、営業活動の主担当は1人しかいない。市補助金が削減される中、体制の在り方も課題だ。

<企業進出促す>
 一方、道路網の拡充を市は産業振興と雇用創出のチャンスと捉える。
 市は、20年度までに遠野住田IC近くの工業団地を拡張して企業誘致を目指す。9月定例市議会で関連費が可決され、概算事業費28億3800万円の巨大プロジェクトが動きだした。
 「遠野も既に働き手不足の状態」(遠野商工会)との指摘もあるが、市環境整備部は「近隣市町村が通勤圏となる。労働力が確保しやすいことをアピールして企業進出を促したい。周辺に住宅も整備し、人口減対策につなげる」と説明する。
 沿岸と内陸の中間に位置する遠野市。高速交通網を市勢発展に結び付けられるかどうかは、今後の戦略と実行に懸かっている。
 市長選には、ともに無所属で4選を目指す現職の本田敏秋氏(70)と新人のNPO法人理事多田一彦氏(59)が立候補を予定している。投開票は15日。


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2017年10月05日木曜日


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