宮城のニュース

<白石・鬼小十郎祭り>全国の「兵」決戦挑む

練習会で甲冑を試着するエキストラ。手慣れた先輩たちが自然に指導役となる

 400年前の乱世に、白石城が年に1度だけタイムスリップする。「鬼」と称された猛将片倉小十郎重長と、「日本一の兵(つわもの)」真田幸村の軍勢との合戦を再現する白石市の「鬼小十郎まつり」は7日、10回目を迎える。市民と全国各地から集うエキストラが情熱を傾けてきた歩みをたどる。
(白石支局・村上俊)

◎みやぎ路 気炎万丈(下)参陣

 合戦開始のほら貝の音が眠れる何かを呼び起こす。
 「私の中の日本人が目覚め、心が荒ぶる。中毒性のある祭り」。東京都の高本美紀さん(48)は2度目の「参陣」を心待ちにする。
 元々は、歴女や武将ブームの起爆剤となったゲームソフト「戦国BASARA」のアニメ版を手掛けた制作会社の宣伝チーフ。仕事で鬼小十郎まつりを見て、毎年訪ねるようになった。小説家に転身し、昨年から演じる側に。熊本城主加藤清正を敬愛する古里熊本市の祭りの記憶と重なった。
 「地元愛があってこそスタッフも参加者も真剣になり、達成感が生まれる。その気持ちを大事にしたい」。昨年4月の熊本地震で大きな被害を受けた熊本城に、白石から思いを寄せる。
 迫真の殺陣を演じるエキストラ60人は毎年公募され、ほとんどは関東や関西、仙台市など市外から集う。九州からの参加もあった。
 片倉、真田両軍に6人1組の部隊が各五つ。無秩序に斬り合うのではなく、事前に決めた相手と刀を交える。最終的に片倉軍が勝つ大まかな流れはあるが、どう戦うかはそれぞれに委ねられる。本番前に3回ある練習会に参加できることがエキストラの条件だ。
 大阪市の会社員赤木幸恵さん(41)は、白石まで1回駆け付けるのに往復の航空運賃や宿泊費、土産代で5万円は使う。「まつりを皆で作り上げ、拍手をもらえる感動はお金に換えられない」と笑顔を見せる。
 人生設計に大きな影響を受けた参加者もいる。
 浜松市から車で7時間掛けて通っていた鈴木淳士さん(32)は昨年9月、七ケ宿町に移住した。
 以前は転勤が多い職場で、同町や山形県、青森県に住んだ。「どこかに腰を落ち着けたい」といったん地元に戻ったが、地域おこし協力隊として七ケ宿に戻った。
 決断の理由の一つが2011年から出ているまつり。「甲冑(かっちゅう)や刀に機能美を感じ、昔から好きだったが、武将や歴史にも興味が出てきた。白石城でつながった仲間とさらにまつりを発展させたい」と力を込める。
 片倉重長、真田幸村、阿梅(おうめ)ら主役級は、専門学校デジタルアーツ仙台(仙台市)でのオーディションで選ばれた学生が務める。
 10年の第3回で阿梅を演じた添野理央さん(26)は、就職で東京に引っ越してからも参加し続け、今回で8度目を迎える。
 初挑戦の第2回は主役級の選から漏れ、エキストラの雑兵に。以来、片倉軍と真田軍、武将や伝令などさまざまな役を経験した。
 「殺陣は楽しいし、お客さんにも喜んでもらいたい。ためを作ったり、つばぜり合いを長くしたりして相手と工夫する。10回は区切りじゃない。ずっと続けていくための出発点」
 決戦の7日はもうすぐ。「鬼」と「兵(つわもの)」たちが気迫をみなぎらせる。

[ガイド]武者行列が7日午前11時にJR白石駅前を出発。メインの「道明寺の戦い」は白石城本丸広場で午後1時から。市中心部では人力車や忍者体験、着物姿での街歩きなどを楽しめる。連絡先は事務局0224(22)1324。


関連ページ: 宮城 社会

2017年10月06日金曜日


先頭に戻る