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<南極見聞録>金曜のカレーは絶品

もう一つの昭和基地名物の流しそうめん。氷山の上に溝を掘って麺を流します。途中で凍らないようにお湯で流しています。会場の階段や溝も氷の彫刻を得意とする調理隊員が1日がかりで作成しました(54次で筆者撮影)
今回2度目の参加になる九州出身の青堀力シェフ(左)と初参加の盛岡市出身の内村光尚シェフ。出身地の郷土料理が食卓を飾ることもあります。博多とんこつラーメンや冷麺が絶品でした(筆者撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(13)名物料理

 長い越冬生活での楽しみの一つは、何と言っても毎日の食事でしょう。観測隊には2名の調理隊員がいて、毎日の食事を担当しています。
 2人とも外国での修行の経験もあり、本職はフレンチを中心とした洋食ですが、基地の中では、洋食、中華、和食、エスニック…何でもござれの優秀な南極料理人です。寒い外での仕事を終えて基地に戻った時においしそうな匂いが漂っていると、その日の疲れも忘れます。
補充は年に1度
 基地の食事は、インスタント食品や冷凍食品ばかりだと思っている方もいるかもしれませんが、実際にはほとんど国内と同様の、あるいは人によっては国内よりも豪華な食事を腹回りを気にしながら毎日おいしくいただいています。
 観測隊の名物料理と言えば、カレーライスが挙げられます。テレビも新聞もなく、休日返上で働くこともある生活の中では、どうしても曜日感覚がなくなります。そこで、しらせでの航海中も含めて「金曜日はカレーの日」とメニューが決まっています。
 具材や味も工夫されており、越冬中、1度たりとも同じカレーを食べたことがありません。食料についてはしらせで年に1度しか補充できません。国内で準備するほかに、観測隊が乗船するオーストラリアでも生鮮食品などを積み込みますが、お酒やジュースなどの飲み物を合わせると1人当たり約1トンという膨大な量になります。
葉物野菜は貴重
 このほかに、不測の事態を想定して、2年越冬できる分の予備食が常備されています。しかし、生鮮食料品は越冬半ばで底を尽きます。ニンジン、ジャガイモは5月、キャベツは6月、生卵は8月になくなりました。あとは芽の出た玉ねぎがわずかに残るのみ、大事な食材を無駄にしないために芽の部分も刻んで薬味に使用しています。
 今、一番何を食べたいかを問えば、多くの隊員から卵かけご飯やキャベツの千切りをほおばりたいという答えが返ってくるでしょう。このような状況で喜ばれるのが先日も紹介した農協サークルで出荷する葉物野菜。十分な量とは言えませんが、12月下旬に59次隊を乗せたしらせが到着するまで、隊員たちの舌と目を楽しませてくれるのです。(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年10月07日土曜日


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