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<仙台圏私のベスト本>(7)「虹色のチョーク」働くことの幸せ再認識

 読書の秋真っ盛り。仙台圏の方々にイチ推し本への愛を語ってもらった。

◎元「りらく」編集長 田中志津さん(50)=富谷市明石台

 宮城県内の食や旅、文化などを紹介する月刊誌「りらく」の編集長を2013年まで約8年半、務めていました。現在は独立してコミュニケーション・ソムリエとして活動しています。
 ノンフィクション作家の小松成美さんの著作は以前から読んでいましたが、知的障害者を積極的に雇用する日本理化学工業(川崎市)の取り組みを追った「虹色のチョーク」(幻冬舎)は秀逸でした。
 老舗チョークメーカーの同社は社員81人の8割が知的障害者。障害者雇用のきっかけは、同社の就業体験に2人の知的障害者を受け入れたことでした。これを機に社員側から障害者を雇用しようという動きが起き、製造工程の工夫や作業環境の見直しによって、障害者も職人として技術を習得できる会社に変わります。
 小松さんは経営者や社員、社員の家族に丁寧にインタビューしています。同社に関わる全ての人が仕事ができることに誇りを持っていることが伝わり、胸が熱くなりました。
 障害者も1人の職業人として平等に扱う一企業の取り組みを描いた作品ですが、働くことを通して人に愛され、人に褒められ、人の役に立ち、人から必要とされることが、人間の幸せなのだと再認識させてくれた一冊です。
(北條哲広)

[メモ]小さな町工場から始まった日本理化学工業。現在、ダストレスチョークでトップシェアを誇る同社が福祉と経営を両立させ、障害者雇用の先進事例として全国的な注目を集めるまでに至った困難や過程を関係者へのインタビューを中心にまとめた。


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2017年10月11日水曜日


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