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<原発被災者訴訟>国の指針超え被害認定 賠償対象期間は限定的

 福島地裁で10日にあった東京電力福島第1原発事故を巡る集団訴訟の判決は、巨大津波を予見できたにもかかわらず、国は東電に安全対策を取らせなかったとして過失責任を全面的に認定した。原発事故の被害をより広く認め、国が定めた賠償基準「中間指針」を超える水準の賠償も命じた。被害が広範囲に生じたことを示した意義は大きい。
 全国の地裁で30件に上る集団訴訟で3例目の判決。初の司法判断となった前橋地裁は国と東電の責任を認め、続く千葉地裁は国の責任を認めなかった。
 福島地裁は2002年7月に作成された巨大地震の長期評価を「研究者間で正当な見解と是認されていた」と指摘。「東電に対策を講じさせることができた02年末から8年以上、全く規制権限を行使しなかった」と国の不作為を指弾した。
 地裁は「中間指針を超える精神的損害がある」とも認定した。原告の7割を占める福島市など福島県内23市町村の居住者のうち大人に16万円を上積みするよう命じた。妊婦と子ども以外は賠償の対象外だった福島県南には10万円、賠償の枠組みから外れていた茨城県の一部などの住民にも1万円の賠償を認めた。
 ただ、精神的被害が発生したとする時期や賠償水準は限定的。弁護団が目指す賠償枠組みの抜本的な見直しには直結しない可能性が高い。放射性物質への不安を抱えながら、地元に暮らし続けた原告らに不満も残る判決となった。(解説=福島総局・柴崎吉敬)


2017年10月11日水曜日


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