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<杜の都のチャレン人>結髪師 技術磨き伝統美発信

元結をくわえ、髪を束ねる沢田さん(右)。結っているのは新妻向けの「先笄(さっこう)」。沢田さん自身は半かつらを使った「丸まげ」で、既婚者向けだ

◎日本髪の魅力を広める結髪師 沢田聖子さん(40)

 びんつけ油が甘く香る。髪の生え際から丁寧にこてを当てて癖を直したら、つげのくしでとき、元結(もっとい)と呼ばれるこよりで束ねていく。前髪、サイドの鬢(びん)、後ろ髪の「つと」、まげ。結い上げる所作はよどみなく、儀式を見るようだ。
 結婚を機に昨年、京都から宮城に拠点を移し、今年9月半ば、仙台市若林区河原町に日本髪専門美容室「髪結い処(どころ) 澤田」を構えた。地髪での結い上げも、かつらも、両方手掛ける結髪師(けっぱつし)。日本髪の本場・京都でも珍しい。
 「肩下10センチくらいの長さがあれば、自分の髪で結えますし、自分の前髪、サイドの髪をはわせる『半かつら』も、自然な仕上がり。『自分に似合うとは思わなかった』と、目をきらきらさせて喜んでくれはるとうれしい」
 時代劇の日本髪をじっと見ているような子どもだった。21歳のとき、憧れの髪形を体験しようと京都の結髪師を訪ねた。「あれよあれよと結い上がり、魔法みたい」。圧倒され、大学卒業と同時に弟子入りした。祇園などの舞妓(まいこ)を抱える美容室。6年間住み込みで、地髪で結う技術を磨いた。
 ブライダル美容室を経て、研さんの場として選んだのは時代劇のかつら業界。舞台や映画、NHKの朝ドラなどを手掛けてきた。
 舞妓に花魁(おいらん)、公家にあんみつ姫…。美容室では希望や年代に応じ、さまざまな髪形を提案する。出張にも応じる。「日本髪を気軽に楽しめると知っていただきたいんです」。おっとりとした京都弁に、意志がにじむ。七五三や成人式じゃなくたって日本髪で街を歩いたり、写真を撮ったり。そんな人が増える未来を思い描く。
 宮城では着物姿を見かけること自体、決して多くない。「培われた伝統美を、それまで興味がなかった人にも伝えることができれば、来た意味がある」。時代考証などの知識を蓄積しながら、日本髪を広げていくつもりだ。(ま)

<さわだ・せいこ>77年岐阜市出身、南山大卒。「髪結い処 澤田」は完全予約制。日本髪や着付け、婚礼や七五三などの支度を手掛ける。予約はホームページ(http://www.nihongamikamiyui.jp/)から受け付ける。


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2017年10月14日土曜日


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