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<衆院選 東北・経済人に聞く>論点(3)金融 低金利マイナス面大

さとう・としひさ 東北学院大卒。1970年盛岡信用金庫入庫。常務理事、専務理事を経て2009年6月理事長。14年6月から東北地区信用金庫協会会長。釜石市出身。69歳。

 10日公示された衆院選(22日投開票)では、アベノミクスをはじめ各党の経済政策が問われる。東北経済は緩やかな回復基調にあるとされるが、東日本大震災に伴う復興需要が収束に向かう一方、人手不足は深刻化する。個人消費が力強さを欠く中で、消費税増税を不安視する声も根強い。難局を乗り越え、経済を立て直す策はあるか。東北の経済人に聞いた。(5回続き)

◎東北地区信用金庫協会(仙台市) 佐藤利久会長

 −今回の衆院選をどう見るか。
 「大義がないと言われるが、何のための解散なのか分からない。総選挙は600億円以上の費用がかかると聞く。それならば東北の復興に使ってほしいというのが正直な気持ちだ。東日本大震災で被災した水産加工業者の多くは販路を失ったままだ。売り上げは震災前に戻っていない。最近ではサンマやサケ、イカなどが不漁で、原材料不足が深刻だ」

 −アベノミクスの評価は。
 「為替相場が円安に動き、大手や輸出関連企業は確かに景気がいい。下請けや孫請け企業も恩恵があるかもしれない。ただ、東北の地場資本の企業はほとんど恩恵を感じていない。景気が上向いているとされるが、実感は伴っていない」
 「金融業界としては、金融緩和による低金利やマイナス金利政策が問題だ。貸し出しと預金の金利差である利ざやが縮まり、本業の利益が減っている。金融機関がリスクを負って経営再建や起業の後押しをしようとしても、原資がなければできない。低金利は地方経済にとってマイナスの方が大きいと感じる」

 −人口減少で地域経済が縮小している。
 「人口減少は政府が放置し、地方に任せきりにしてきたと思う。行政も企業も東京に一極集中する仕組みを変えなければ、地方だけで解決するのは難しい。例えば北上山地への超大型加速器『国際リニアコライダー(ILC)』誘致は一つの解決策になる。世界中から研究者が集まり、東北に国際的なイメージが生まれる。交流人口拡大や地域活性が期待できる」

 −選挙では財政再建の議論が少ない。
 「どの政党も財政再建の具体的な道筋を示さず、無責任だ。首相は2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の約束をほごにし、野党は消費税増税に反対するだけで財源の話がない。先送りして将来の子どもの負担にさせていいのか。安定した政権の時にこそ国民の負担を示し、責任を持って方向性を明らかにするべきだ」

 −金融業界は、ゆうちょ銀行の新規業務への参入に反発している。
 「日本郵政株の大半が政府保有で、完全に民営化したとはいえない。それなのに業務拡大や預金限度額の引き上げをするのは民業圧迫だ。自民党が全国郵便局長会の集票力に期待しているのだろうが、選挙目当ての政策は改めるべきだ」


2017年10月14日土曜日


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