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<衆院選宮城>旧秋保町、3区編入で漂う疎外感

遠巻きに立候補者の演説を聞く住民ら=14日午前、仙台市太白区の秋保ヴィレッジ

 22日の投開票まで1週間に迫った衆院選で、仙台市太白区旧秋保町の有権者が疎外感を抱えて論戦を眺めている。区割り変更で宮城1区の太白区から切り離され、3区に編入された。立候補者へのなじみは薄く、投票率の低下を懸念する声も聞かれる。戸惑いに満ちる町内を歩いた。(報道部・北村早智里)

<選挙戦5日目で初> 
 「あいさつが遅くなり申し訳ない。秋保の観光振興に精いっぱい取り組む」。14日午前8時、3区のある候補は観光農業施設「秋保ヴィレッジ」前で住民ら15人に支持を呼び掛け、遊説をスタートさせた。
 選挙カーで秋保入りしたのは、選挙戦5日目で初めて。候補は「なかなか足を運べずにいた。名前がどれだけ知られているのかは未知数だ」と本音を明かす。1時間ほど回ったが街頭演説はせず、足早に次の町へ移動した。他の2候補も1度ずつしか訪れていない。
 旧秋保町は1988年、旧泉市(現泉区)と共に仙台市と合併。一体感を育んだ30年の節目を前に、「1票の格差」是正に伴う改正公選法で「分断」の憂き目に遭った。
 編入した3区には名取市が含まれ、合併以前に旧名取郡だった時代を知る高齢者からは「元に戻されたみたいだ」との声も漏れる。

<「何のための合併」> 
 「国が決めたことだからやむを得ないが、島流しにあった気分。まさか自分たちのところがという感じ」。町内でスーパー「主婦の店さいち」を営む佐藤啓二社長の思いは複雑だ。
 寝耳に水の変更に町内で反対署名を集める動きもあったが、撤回はかなわなかった。米穀店の相沢かず子さん(71)は「何のための仙台合併だったのか」と憤る。区割りが決まった後、「もう投票には行かない」と怒りをあらわにする客もいたという。
 相沢さん自身も、自宅に届いた投票券の「3区」の文字を見て、すぐに引き出しにしまい込んだ。「突然だもの。誰だって戸惑っているよ」と肩を落とす。
 旧秋保町の9日現在の選挙人名簿登録者数(有権者数)は3688人。町内に暮らす幼稚園教諭の20代女性は「選挙に行くかどうかも迷っている」。衆院選だけでなく、同日選の知事選でも投票率低下を危惧する声がある。
 佐藤社長は「町全体の政治への関心が薄れているように感じる。無関心なわけではないが、遠いところの話のよう。候補はもっと積極的に顔を見せてほしい」と切なる願いを吐露した。


2017年10月15日日曜日


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