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<衆院選宮城>被災地の浜、冷ややか「政治家の眼中に復興ない」

カキむきの作業に精を出す生産者ら。浜は繁忙期を迎えている

 東日本大震災で被災した水産漁業関係者が、22日投開票の衆院選を冷めた目で見ている。カキやノリの生産者は今季の売り上げを左右する作業に奔走し、卸業者や加工業者はサンマ不漁、原料高騰が重くのし掛かる。「政権維持や野党再編ばかりでなく、復興に心血を注いでほしい」。三陸の浜辺に嘆きが広がる。
 宮城県漁協は9月下旬、今季の生食用カキの出荷を始めた。従業者が減り、生産目標は1700トンと震災前の約5割。昨季はノロウイルスによる出荷停止が相次ぎ、今季に懸ける生産者の意気込みはひときわ強い。
 出荷作業に追われる石巻市の男性(67)は「選挙戦で漁業の復興は忘れ去られている。候補者が浜にも来ても対応している余裕はない」とぼやく。
 東松島市大曲浜はノリ養殖が盛んだ。のり製品が皇室献上品に選ばれたこともある。50代男性は「政治家は当選することしか考えていない。今は種を育てる大事な時期。うまく育たなければ今季の生産はパーになる」と作業に忙しい。
 東京電力福島第1原発事故の影響で、製品は定期的に放射性物質検査を受けている。男性は原発事故が恨めしい。「安全性に問題はないが、消費者から『本当に大丈夫?』と問い合わせがある。いまだに風評被害がやまない」と言う。
 三陸はサンマの記録的な不漁にあえぐ。サンマまつりの中止や加工工場の操業休止を余儀なくされたところも出ている。
 宮城県南三陸町志津川の市街地では9月、水産加工場が再建された。50代の男性社長は「ハード整備が終わったばかりで、復興の本当のスタートはこれから。政治家の眼中に復興はないように見える」と憤る。
 同社は震災後、人手不足や販路喪失に陥った。震災から6年半の間、原料費と人件費の上昇で再建に伴う借金は約1億円に膨らんだ。新商品開発や労働環境改善など課題は多い。
 衆院選の区割り改定に伴い、町は従来の宮城6区から5区に編入された。社長は「現場の声が国政に届くのか」と疑念を抱く。


2017年10月16日月曜日


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