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<閖上津波訴訟>前市長が出廷「津波襲来、無線以外でも予見できた」

 東日本大震災の津波で家族4人が宮城県名取市閖上地区で死亡・行方不明になったのは市の防災無線の故障が原因だとして、仙台市の夫婦ら遺族4人が名取市に約6700万円の損害賠償を求めた訴訟で、佐々木一十郎(いそお)前市長(67)ら4人への証人尋問が16日、仙台地裁であった。佐々木氏は「住民は津波の襲来を防災無線以外の手段で予見できたはずだ」と述べた。
 市の災害対策本部長だった佐々木氏は震災当日、防災無線による閖上地区への避難の呼び掛けを午後7時までに計8回実施したが、市庁舎の親機が故障していため一度も鳴らなかった。
 佐々木氏は無線の故障について、「残念だし、悔しい思いがある。非常時にあってはならないことで結果責任を感じている」と説明する一方、「防災無線は(情報収集の)唯一の手段ではない。車のラジオを聞くこともできた。自然災害では自分の命は自分で守るのが基本だ」と強調した。
 市防災計画で定めていた広報車による避難の呼び掛けをしなかったことは「車が閖上地区に着くまでに津波が到達するかもしれないと思い、自分の判断で(車を)出さなかった」と証言した。
 指定避難場所だった閖上公民館に関し、「津波時に使わないよう(市の)内部で申し合わせていた」と明かした。遺族側が「(鳴らなかったが)防災無線で公民館への避難を呼び掛けていた」と指摘すると、「(避難場所として不適切だとの)思いが至らなかった」と釈明した。
 無線の放送を担当した市職員は尋問で「操作盤は正常に動いていたので、親機の故障に気付かず放送を続けてしまった。故障は想定外だった」と語った。
 27日には遺族や閖上地区の元住民、市幹部ら5人への証人尋問を実施する。


2017年10月17日火曜日


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