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<衆院選福島>「原発ゼロ」に懐疑と期待 具体性乏しい各党公約

(左上から時計回りに)福島地裁でメッセージを掲げる原発事故集団訴訟の原告ら、東北電力女川原発、衆院選立候補者、東京電力福島第1原発のコラージュ

 衆院選(22日投開票)で希望の党をはじめ野党が打ち出した「原発ゼロ」の公約を、東京電力福島第1原発事故被災地の首長や住民が複雑な心境で受け止めている。具体性の乏しい脱原発公約に真意を測りかねているためだ。原発再稼働を巡っては、国政選挙のたびに生煮えの議論が繰り返された。被災地にまたも、懐疑的な見方と期待が交錯する。

 「再生可能エネルギーを活用して2030年までの原発ゼロを目指したい」
 東日本大震災から6年7カ月の11日、希望代表の小池百合子東京都知事が郡山市内の街頭で訴えると、多くの聴衆が拍手した。
 脱原発都市を宣言した桜井勝延南相馬市長は脱原発を主張する候補の応援マイクを握ってきた。だが、郡山の街頭演説会場に桜井氏の姿はなかった。
 昨年の都知事選で、脱原発を声高に主張していたのはむしろ小池氏の対立候補だった。国政進出に当たり希望が脱原発を持ち出した背景には、脱原発派の支持を取り付け、政権批判票を取り込みたい戦略が見え隠れする。
 桜井市長は「言葉は信用できない。脱原発を『目指す』だけなら、誰でもできる。具体的な工程を示すべきだ」と注文する。
 衆院選で各党が示した原子力政策の公約は表の通り。再稼働の方針を踏襲する自民党に対し、野党は明言を避けた維新を除き原発ゼロを主張している。
 自民は原発の新設や建て替えの可否を含め、将来の原子力政策を十分説明していない。各党とも再生エネルギー比率向上などを唱えるが、立地する東北電力女川原発の再稼働が争点になっている宮城県知事選(22日投開票)でも建設的な論議に至っていない。
 福島県双葉町から郡山市に避難し、避難者集団訴訟に加わる養蜂業小川貴永さん(47)は、福島第1原発の廃炉の行方が最大の関心事だ。
 「事故が起きれば大きな被害を招く原発はなくすべきだが、政策転換には時間がかかる。現実的に何ができるかを政治は考えてほしい」と訴える。
 明日香寿川東北大教授(環境エネルギー政策)は「過去の国政選挙に比べ争点化しているが、再稼働させたい候補は発言が少なく論戦が深まらない。原発ゼロを主張する人も、原発の非経済性を追求するなど努力が必要だ」と指摘する。


2017年10月17日火曜日


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