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<衆院選 東北・経済人に聞く>論点(5完)観光 人材育成 時間も必要

<にしや・らいすけ>米ミネソタ州立大マンケイト校卒。弘前市の旅行会社、教育会社を経て、2012年4月、ツアー企画の「たびすけ合同会社西谷」を創業。16年10月から現職。弘前市出身。45歳。

 10日公示された衆院選(22日投開票)では、アベノミクスをはじめ各党の経済政策が問われる。東北経済は緩やかな回復基調にあるとされるが、東日本大震災に伴う復興需要が収束に向かう一方、人手不足は深刻化する。個人消費が力強さを欠く中で、消費税増税を不安視する声も根強い。難局を乗り越え、経済を立て直す策はあるか。東北の経済人に聞いた。(5回続き)

◎東北インアウトバウンド連合(仙台市) 西谷雷佐理事長

 −アベノミクスへの評価は。
 「賛否両論あるが、観光面では実績が出ている。インバウンド(訪日外国人旅行者)は年々増加し、日本版DMO(観光地域づくり推進法人)の登録件数も150を超えた。インバウンドの消費金額も増えている」
 −東北のインバウンド誘致の現状は。
 「2016年は全国で2400万人を超えた。東北はその1%程度だが、北海道新幹線の開業や各地の桜の人気もあって着実に増えている。インバウンドの半数以上がリピーターだ。初めての来日で東北に来る人は少ない。東京や京都、北海道、沖縄などを既に訪れた人たちが、次の目的地を探す段階になっている」
 「『食べ物がおいしい』『自然が豊か』『人がいい』というのは全国のどこでも言える。インバウンドに東北を選んでもらうには、良い素材をそのままアピールするのでなく、興味に訴えかけるようなアレンジを加える必要がある」
 −観光行政の課題は。
 「これから旅行者を呼び込もうとする東北は、東京や京都とは取り組みのステージが違う。だが、予算は同じ仕様が多く、地域ごとの最適化ができていない。もっと柔軟な使い方ができればいいと思う」
 「人材育成、特にガイドの育成は大切だ。観光客と地域をつなぐのはガイド。地元の人に直接案内されれば、感動が違う。語学ばかりが優先されるが、インバウンドに快適に滞在してもらうには、文化や宗教観を理解することのほうが重要。時間をかけて育成できる仕組みがあるといい」
 −出国税の導入が検討されている。
 「財源は必要なので否定はしないが、もっと有効な手法を探ってみるべきだ。世界的には行政に観光課がないのが一般的で、民間に委託されている。新しい税を徴収する前に、整理すべき予算や団体があるのではないか」
 −アウトバウンド(出国日本人)の拡大も課題だ。
 「『来て』と言うからには、こちらからも行かなくてはならない。チャーター便が満員で来ても、帰りは誰も乗っていないことがある。東北のパスポート取得率の低さも問題。特に子どもたちは、自分の街を離れて気付くことがたくさんある。これも人材育成の一つだ」


2017年10月18日水曜日


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