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山の廃校で写真展 地域の暮らし未来へ伝える

閉校式の日そのままに、児童の名前とメッセージが残された黒板を見詰める佐野さん

 2009年3月に廃校となった岩手県大槌町の旧金沢(かねざわ)小の古ぼけた黒板に、当時の教員が児童15人に向けてしたためたメッセージが、ひっそり残されている。「子どもたちの息吹、先生たちの思いが充満しているのを感じて心が震えた」。町職員が偶然見つけたのをきっかけに、うち捨てられた山あいの校舎で地域の写真展が23日から開かれることになった。

 町震災伝承推進室長の北田竹美さん(66)が、金沢小校舎を訪れたのは今年7月末。そこで目にしたのが、児童一人一人の名前と「がんばれ15人のファイナリストたち!」と書かれた黒板だった。
 「力を合わせ、本当の『最後の一ページ』を刻んでください」「『金沢魂ここにあり』と会場のみなさんに思われるよう心を込めて『呼びかけ』『全校合唱』を行いましょう」。閉校式に臨む子どもたちへ、教員からの伝言だった。
 当時の町教委職員が後にニスを吹き付け、文字が消えないよう保存していた。
 「過去の延長上に未来があり、つないでいくべきものがある」。そう感じた北田さんは、過疎が進む金沢地区を写真で残そうと、集落の住民と実行委員会を結成。写真展の開催に向けて動きだした。
 今月6日には金沢小最後の校長だった佐野容子さん(62)=一関市=が校舎を訪問。黒板のメッセージを見詰めて「地域に見守られ、家族のように過ごした日々を思い出す。閉校は心苦しかったが、再び住民が集う場になる写真展が楽しみだ」と話した。
 テーマ写真展「金澤未来の記憶」には、地区の郷土芸能や自然豊かな景観、お年寄りを中心としたポートレートなど作品計約100点が展示される予定だ。北田さんは「寂れゆくこの地で生きる人の日常や風景を写真に刻み、黒板と同様に未来へ伝えたい」と意気込む。
 写真展は23日〜11月3日。連絡先は町震災伝承推進室0193(27)8168。


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2017年10月19日木曜日


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