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<東北の道しるべ>衆院選で各党の公約チェック 小規模自治や再生エネ拡大で共通項

 河北新報社は創刊120年を迎えた今年1月、次世代に引き継ぎたい東北像として「東北の道しるべ」を発表した。成長を必ずしも前提としない経済システム「東北スタンダード」を掲げることなど6項目あり、持続可能な地域社会の先進モデルを打ち立てる。22日投開票の衆院選で、主要政党が掲げる公約や政策に「道しるべ」と通底する項目はあるのか探った。(東北の道しるべ取材班)
 「東北スタンダード」は成長重視のグローバル競争と一線を画し、地域内を人、物、財が循環する定常社会を目指す。アベノミクスを推進する自民、公明両党は衆院選公約でも成長路線を堅持するが「人口減少下でも持続的な経済成長を可能にする」(公明)ための政策も盛り込む。
 安倍晋三首相が年内に具体策を取りまとめるとした「生産性革命」がその一つだ。自民は「ロボット、IoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)など生産性を高める投資を推進する」と公約。東北の資源や産業と結び付き、内発型の産業が生まれれば企業誘致に頼らない「共創産業」を興すことができるかもしれない。
 東北の道しるべは、地域社会を維持するため一人一人が「2枚目の名刺」を携え、公的役割を担うことを提案する。先進例として広がるのが小規模多機能自治。「地域運営組織」が司令塔となり、おおむね小学校区を範囲に住民自ら地域課題を解決する事業に取り組む。
 自民は「人口減少や高齢化が著しい中山間地域で、地域運営組織の形成を進める」と強調。公明も地域運営組織を中心とした集落生活圏「小さな拠点」を2020年までに1000カ所形成すると約束し、地域住民が2枚目の名刺を持てる環境づくりを目指す。
 再生可能エネルギーの拡大は各党が明記した。「30年までの原発ゼロ」を掲げる希望の党は再エネ比率を30%まで向上させ、エネルギーの地産地消を推進する方針。共産党も「30年までに電力の4割を再エネ」と公約し、電力会社による再エネの買い取り拒否を「やめさせる」と訴える。
 ただ、各党とも「エネルギー自治」の確立までは言及していない。自民は再エネ分野などへの投資を「国内総生産(GDP)600兆円への起爆剤にする」と主張。社民党も「雇用創出や内需拡大、地域振興につなげる」とするが、地域の再エネを地域で使うエネルギー自治の将来像は見えない。
 1次産業を担う若者への支援も「夢や希望を持てる『農政新時代』」(自民)と銘打ち、収入安定対策を掲げるなどしているが、生産と消費の分断を回復する役割を託された「自然と人間の通訳者」を育てていく視点には乏しい。
 「INAKA(いなか)を世界へ」は、競争より共生を重視する東北固有の価値観、生き方を国内外に発信する。今回の衆院選公約は緊迫する北朝鮮情勢への対応が中心で、国際交流の記述は皆無だった。
 立憲民主党は「地域を立て直す」、日本維新の会は「地方の自立」とそれぞれスローガンを掲げたが、東北の道しるべに直結するような政策は見当たらなかった。


2017年10月20日金曜日


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